高級ホテルの顧客が通う「銀座の高級寿司」の実際 「銀座寿司幸」が140年繁盛している納得の理由
東洋経済オンライン / 2024年9月17日 12時0分
その次に予想を超える焼酎ブームが沸き起こる。それこそ「森伊蔵」など、抽選でなければ購入できない、幻の超人気焼酎がいくつも登場したが、元来、酒に関する知識が豊富で、酒屋との付き合いも密であった先代の杉山氏 は、容易にそうした焼酎を手に入れることもできたという。銀座寿司幸本店に行けば、特別の焼酎が飲めると、客は喜んで訪れた。
焼酎ブームの前にバブルが崩壊したが、バブル後も客足が絶えることはなかったという。「しょせん、一升マス(料理屋のこと)には一升しか入らない、9割になってももちこたえられた」と杉山氏。料理屋の利益をマスに喩える。
「ワイン×寿司」もいち早く始めた
そして、今でこそ珍しくもなくなったが、寿司にワインを合わせるという試みをいち早く始めたのが杉山氏なのである。自身がワイン好きで、自ら勉強し、知識を深め、魚とのマリアージュを趣味として研究――穴子にはムルソー、トロにはピノ・ノワールを合わせるといった具合に――していたのだが、そこにワイン好きの顧客たちがとびついたというわけだ。
「アルコール類に力を入れていてよかったのは2008年のリーマンショックと2011年の東日本大地震のときですね。両方とも客が1/3になったけれど、ワインを目当てにやってくる客は根強かった」と杉山氏。
「実は東日本大震災の前は景気がよかったものだから、ワインをしこたま買い込んでいて、不良在庫が山のように地下のセラーに眠っていたんです。原価を払い終わっていると考えると、2万円のワインを1本開けてもらえば、2万円の利益が出るんですよ」
「寿司を握って、2万円の利益を出そうと思ったら、どれくらいの寿司を握らなければならないと思う?」と杉山氏から聞かれ、「5万円」と答えると、「そんな寿司屋は1週間で潰れるよ」と笑われた。
寿司の利益率は7~6割。つまり、売り上げベースで15万~20万円握らないと、2万円の利益は出ないのだという。客が1/3に減って売り上げは減ったが、利益率の高い酒の購買量が増えたため、利幅はぐっと上がったというのが現状だったのだ。それで、リーマンショックも東日本大震災も窮状をしのぐことができたそうだ。
リーマンショックでも利益を出せたワケ
接待で利用していた客はまったく来なくなったが、ワインを飲む客が減らなかったのは、客との個人的なつながりが強かったためだ。中小企業の社長や作家、資産家など、自分のお金で飲み食いできる個人客が残ったのである。
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