減便した「朝の電車」元の本数なら混雑どうなる? ラッシュ時の輸送力、2019年度と比較して試算
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 7時0分
コロナ禍で在宅勤務などが広がったとはいえ、最近は多くの人が以前のように通勤するようになってきた。一時期は車内で全員がマスクをしていたが、その姿もあまり見なくなっている。
【表でわかる】本数の減った首都圏JR線、もし「減便」していなかったら混雑率はどうなっていた?2019年度と2023年度の利用者数変化も
しかし鉄道会社の多くは、コロナ禍で減便した本数を元に戻していない。本数を減らしたのは通勤客が減ったためだが、輸送力が減ったままで利用者数は戻ってきているため、車内の混雑ぶりは以前とあまり変わらなくなっている。通勤客が減ってゆったりとした車内環境になったかといえば、そうなっていない路線が少なくない。
では、減便は混雑にどの程度影響しているのか。もし減便していなかったら、今はどの程度の混雑なのだろうか。
減った本数、戻る乗客
コロナ禍で列車の本数を減らした鉄道会社として挙げられるのがJR東日本である。2022年春のダイヤ改正では新幹線・在来線など200本以上を削減した。象徴的なのは山手線だ。同改正で、平日の昼間は3分50秒間隔(1時間当たり16~17本)から5分間隔(同12本)に減便され、首都圏を代表する路線だけに注目された。
【表でわかる】本数の減った首都圏JR線、もし「減便」していなかったら混雑率はどうなっていた?2019年度と2023年度の利用者数変化も
減便はほかの多くの鉄道会社も行ったが、JR東日本は人の動きが戻ってきた中の2024年春ダイヤ改正でも、土休日の山手線外回りの本数を減らして5分間隔とした。もともと運転本数が非常に多く、減った後も多い部類に入るため気づきにくいが、以前と比べればだいぶ本数が減っているのだ。
利用者が増えれば混雑率が上がるのは当然だが、利用者数が変わらなくても列車の本数が減って輸送力が下がれば混雑率は上昇する。混雑率が上がるパターンは以下のような例が考えられる。
【混雑率が上昇するパターン】
1:輸送力が増え、利用者がそれ以上に増加
2:輸送力は一定、利用者が増加
3:輸送力が減り、利用者数は一定
4:輸送力が減り、利用者数が増加
長年、都市部の鉄道は1と2のパターンが多かったといえるだろう。最近電車が混むようになったのは、コロナ禍で一度大きく減った乗客が再び増える中で4の状態になっているためといえる。
もし元の本数だったら?
例としては中央線快速が挙げられる。国土交通省が毎年発表している鉄道の混雑率のデータによると、コロナ前の2019年度、最混雑区間の中野→新宿間のピーク1時間当たりの輸送力は4万4400人(10両編成30本=データ記載に基づく)、輸送人員8万1550人で、混雑率は184%だった。
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