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「誰もが」輝く社会を創る「ヘラルボニー」の挑戦 知的障害のある"異彩作家"と新たな文化を創造

東洋経済オンライン / 2024年9月21日 11時0分

岩手県盛岡市で唯一の百貨店である川徳に構えたヘラルボニーのショップ(写真:ヘラルボニー)

9月20日、テレビ東京の『ガイアの夜明け』で取り上げられたヘラルボニーは、「福祉×アート」の分野で急成長しているスタートアップ企業だ。

同社は双子で、ともに代表取締役の松田崇弥さん・文登さんが2018年に地元・岩手県で創業。"異彩作家"と呼ぶ知的障害のある作家のアートライセンスで、企業とのコラボレーションなどを展開している。

事業にかける思い、そしてこれからの挑戦などについて、岩手県盛岡市内の本社で松田文登さんに話を聞いた。

(本記事は前後編の後編/前編はこちら)

兄が書いた謎の言葉「ヘラルボニー」を社名に

知的障害のある人たちのアートに可能性を感じ、双子の松田崇弥さんと文登さん、そして2人の友人が、それぞれ副業として始めた事業。それが次のフェーズに移行したのは2018年。

【写真】唯一無二の存在感! 岩手県内で大きな話題となったJR釜石線の「ヘラルボニー」ラッピング車両

東京の広告代理店に勤めていた崇弥さんが会社を辞め、活動を法人化。2019年に会社名を「ヘラルボニー」に変更した。

「ヘラルボニー」は、重度の知的障害を伴う自閉症の兄・翔太さんが子どものころ、自由帳に繰り返し書いていた“謎の言葉”。翔太さんに何回、意味を尋ねても「わからない!」と言うばかりだった。

だが一見、何の意味もないように思える「ヘラルボニー」という言葉でも、自分たちの取り組みによって意味や価値が見いだされるかもしれない。

自分たちはそのような仕事をしていきたい、との思いから、社名を「ヘラルボニー」と決めたのだった。

【写真】『ガイアの夜明け』で特集されるなど話題のヘラルボニー。その歩みがわかる写真の数々(10枚)

数カ月後には文登さんも岩手県内のゼネコンを退職し、代表取締役副社長に。双子の2人がともに専念するようになったことで、事業は加速していく。

社会課題に挑むスタートアップとしてピッチプレゼンなどでビジョンを語り、投資を呼び込みながら、事業を成長させてきた。

あるがままが認められる社会に

大切にしているのは「異彩作家のあるがままが認められること」。

「あるがままの表現をどう届けるかを考え、キュレーションするのはヘラルボニーの役割。商品や展示、言葉としての届け方を変えることによって、作家たちはそのままで、受け止める社会の側を変革していくんです」(文登さん)。

作家の数が増える中で、当初は文登さんが担っていた作家とのコミュニケーションを複数の社員で担う必要が出てきたため、作家ごとに担当者を決める社内体制を作った。

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