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誕生100年の都バス「利用者多い路線」はどこ? 鉄道網の空白地帯が健闘、でも実は8割が赤字

東洋経済オンライン / 2024年9月21日 7時0分

利用者多くても「儲かる」とは限らない

もう1つのドル箱路線「都07」系統も鉄道では乗り換えの必要な区間を結ぶが、こちらは途中でJR総武線の亀戸駅、都営地下鉄新宿線の西大島駅、東京メトロ東西線の東陽町駅・木場駅(いずれも江東区)と、複数の鉄道駅を「串刺し」にしている。

都バス屈指の利用者数を誇るだけあって、便数は平日の日中でも1時間に8本以上と頻発している。

15時台の便は、座席がすべて埋まった状態で錦糸町駅前を発車。鉄道と乗り換えられる停留所を中心に乗り降りが多く、乗客は頻繁に入れ替わる。車内放送が流れる前に後者ボタンを押す人が目立ち、乗り慣れた地元客が多いことがうかがえる。門前仲町まで約30分、途中19カ所の停留所すべてで乗り降りがあり、通過した停留所は1つもなかった。

王40系統と都07系統、どちらも鉄道網の空隙を縫って走る地域住民の足だが、「儲かっている」のは都07系統のほうだ。1日の乗車料収入は309万円で、100円の収入を得るのに必要な支出を示す「営業係数」が78と、都バスの中でもトップクラス。一方、王40系統は乗車料収入こそ335万円と上回っているものの、営業係数はギリギリ黒字といえる96だ。

これは、系統によって支出額が異なり損益に差が出るためだ。支出は、全体の金額を年間の走行距離などで各系統に配分した額だという。年間の支出は王40系統が約13億5300万円なのに対し、都07系統は約9億9100万円だ。王40系統のほうが路線は長い。都交通局は「路線ごとの数値についてはケースバイケース」としたうえで、路線の長さや便数の多さなどによる経費の違いも「一因にはなりうる」とする。

2022年度の系統別収支状況は「運行受託路線」を除く127系統が対象。都交通局によると、運行受託路線とは江東区からの委託を受けて運行している江東01系統・急行06系統の2系統だという。

この127系統のうち、営業係数が100未満の黒字路線は26系統のみ。実に8割は赤字という計算だ。都バスの看板路線的な存在である、渋谷駅前―新橋駅前間を結ぶ「都01」系統も営業係数は119。年間の赤字額は約1億4800万円だ。

路線バスは以前から全国的に赤字が大半で、一部の黒字路線でその損失を埋め合わせてきたのが実情だ。日本バス協会の資料によると、30台以上のバスを保有する全国218のバス事業者のうち、黒字はわずか13事業者(データは2021年度)にとどまる。

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