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フランフランが「若年女性」人気を総取りするワケ アインHDによる買収を経て、再成長できるのか

東洋経済オンライン / 2024年9月22日 8時0分

夏の定番品となった小型扇風機はその最たる例だ。2018年に発売して以来、静音性など機能面の改良を重ねてきた。今夏は2種類の扇風機でビビッドなオレンジやグリーンなどを含め、16色も展開。自分の服や持ち物と合う色を見つけられることが強みになっている。

ブランドを守ってきた歴史

フランフランは家具メーカーの子会社から始まった。1992年に1号店を天王洲アイルに開店。「バルス」の社名で上場していたが、2012年には海外展開を視野にMBO(経営陣による買収)を実施。翌年に小売り大手のセブン&アイ・ホールディングス(HD)と資本業務提携した。

2016年にはフランフラン以外のブランドを終了し、フランフランに専念、翌年には社名もフランフランとした。また、創業者の髙島郁夫氏が2021年に退任すると、その後は投資ファンドの日本成長投資アライアンスが筆頭株主として今年8月まで経営を支援していた。

フランフランは大株主や経営体制が変わり続けても、ブランドのコンセプトを守り、若い女性から厚い支持を集めてきた歴史がある。

フランフランは主に1〜2人暮らしする女性がターゲットだ。自宅で好きなものに囲まれて、気分を上げられるような空間づくりを提案してきた。時代ごとに流行のデザインを取り入れながらも、こうしたコンセプトは一貫している。

これは、ニトリなどの大手が手がけるような、1人暮らしからファミリーまで全方位で展開する戦略とは異なる発想だろう。

佐野社長は「商品の循環がうまくできた結果、顧客層は変わらなかった。ブランドに共感する人材も入社してきてくれた」と振り返る。トレンドを予測し、商品を開発できる人材を多く抱えていることで、年月が経っても若い女性の支持を獲得できているわけだ。

異業種とタッグ、シナジー発揮はいつ?

今後、フランフランはアインHDの美容・化粧品店「アインズ&トルぺ」と隣接した共同出店を加速する。両方とも若年女性が主要客で、集客効果が見込める。長期的には新業態の開発も視野に協業を進める考えだ。

フランフランは他社との協業の経験もある。かつての大株主、セブン&アイHDとは、2015年からイトーヨーカドー内に「BON BON HOME(ボンボンホーム)」という西海岸をテーマにしたインテリアショップを展開していた。セブン&アイHDからは主に店舗運営のノウハウを学んだが、シナジーは限定的だった。

また、足元のフランフランは利益面の改善が課題の一つとなっている。2021年8月期は売上高361億円、営業利益40億円だったが、2022年度は売上高372億円、営業利益34億円。2023年度は売上高394億円、営業利益25億円と減益基調だ。これは主に円安による仕入れ値の上昇と、出店による先行費用が影響している。

フランフランの独自性や強みを保ちながらも、異業種のアインHDと協力し、再び成長路線を描けるのか。シナジー発現が最大の焦点になる。

井上 沙耶:東洋経済 記者

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