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これからの不動産の価値を決める"納得"の物差し 単純な損得勘定では測れない新しい指標に注目

東洋経済オンライン / 2024年9月23日 15時0分

目標は流山市をつくばエクスプレス(TX)沿線でいちばん早く、いちばん高く売れる街にすること。流山市では他にも「行財政改革」「市民自治」「街づくり」「オープンデータ」などの分野で成果を上げています。

ネット上には流山市の取り組みが数多く紹介されていますので、ご興味がある方はご覧ください。

こうした一連の大改革ができたのは、2003年に井崎義治現市長が就任してからです。井崎市長はアメリカで都市計画や地域計画に携わってきた専門家であり、だからこそ「自治体は経営である」ということをよくご存じであったのだと思います。

それで就任時から「流山市をTX沿線でいちばん早く、いちばん高く売れる街にすること」といった課題に取り組んでこられたのです。

多くの自治体でドラスティックな改革ができないのは、たいていリーダーである首長が「そもそも問題意識が低い」か、「やりたくてもできない」のどちらか。前者は論外ですが、本気で都市計画・自治体経営に取り組んでいる首長は残念ながら多くありません。

また「街を縮める」となれば、結果としてどこかの地域を切り捨てることになります。そうなると選挙に弱い首長は及び腰になり何もできないということに。選挙に強い首長であることが、改革ができる絶対条件です。

つまり良好な自治体経営は、首長や議員に投票する住民のリテラシーにかかっているわけですね。

下落する災害地域

「災害対応力」も重要です。

わが国ではこれまで多くの地震や水害に見舞われてきましたが、実は2019年の台風15号、19号を受け、損保大手各社が火災保険料の見直しをしています。要は「水害可能性のある地域は火災保険料が割高になる」というわけです。

ただし見直しといっても保険料が当初より最大1.2倍程度上がるといったレベルで、額にして数万〜10万円程度であることから、これで不動産の資産価格に差がつくというような、大きなインパクトはありません。

しかしこのような格差を、住宅ローンを提供する金融機関が始めたらどうなるでしょうか。

たとえば、これまでは5000万円の物件Aと物件Bどちらも担保評価の掛け目を100パーセントとしていたところ、水害可能性の低い物件Aはそのまま、水害可能性の高い物件Bは金融機関としてもリスクがあるため担保評価を70パーセントの3500万円としたら、とたんに物件Bの資産価格は大きく下落するはずです。

これは住宅を購入する人のほとんどが住宅ローンを利用するためですが、担保評価の低い物件Bを買うには物件価格の30パーセント、つまり1500万円の頭金を用意しなければなりません。こうなると購入できる人はかなり限られてきます。

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