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これからの不動産の価値を決める"納得"の物差し 単純な損得勘定では測れない新しい指標に注目

東洋経済オンライン / 2024年9月23日 15時0分

したがって需要が大きく減退し、物件Bの価格はかなり下げないと売れないということになるでしょう。おそらく3000万円台くらいにしないと売れないのではないでしょうか。かたや5000万円、かたや3000万円と、今後は水害可能性の有無で大きな資産格差がつく可能性があるのです。

住まい探しは「金銭的に買える街」が主流だったが

また「建物の省エネ性能」も重要なポイントです。断熱性の高い住宅であれば長持ちし、長期的に資産として活用できるからです。

そして最後に「その街に暮らす人が、地域を愛しているか」も大事になってきます。戦後の高度経済成長期では、地方から出て東京など都市部で仕事を求め、都市近郊で住宅を求めるといった行動様式が主流でした。

住宅価格は当然ながら都市の中心部に近いほど高く、したがってよりリーズナブルな都市近郊の郊外へ住まいを求めるといった行動様式でした。

つまり「住みたい街」に住むのではなく「金銭的に買える街」に住んだわけであり、その際のバロメータとなるのは「都心部からの距離」「駅からの距離」であったりしたわけです。

その自治体がどんな経営をしているか、どんな特色があるか、どんなお店があるか、どんな人が暮らしているかといったことは、住まいを選択する際に念頭になかったというか、考慮する余裕もなかったでしょう。

首都圏で言えば東京都心部から30〜40キロ圏内。通勤時間がドアツードアで1〜1.5時間、もっと具体的に言えば国道16号線内外のたとえば、相模原・町田・大宮・柏・船橋といった、かつて「郊外ベッドタウン」と呼ばれたところです。

これらのエリアでは団塊世代を中心とする人口ボリューム層が、高度経済成長下で、地価上昇が永遠に続くとする「土地神話」のもと、「早くしないと買えなくなる」といった焦燥感にかられながら、こぞって住宅を求めました。

個性があり、暮らしていて楽しい街かどうか

多くの都市郊外はどこも似たような街並みで、駅前のロータリー周辺にはコンビニや牛丼屋にファストフード店、消費者金融など、どこも同じ顔ぶれの、特色のない景色が広がっています。

そんな中においても、地元ならではの人気レストランや居酒屋などが点在するものですが、こうした「その地域ならでは」の店舗が今後も増える街は有望です。他と同じではなく、個性があるからです。

その街を愛するためには、どこにでもあるものではなく、個性があることが重要です。同様に、街並みや景観に対する意識が高い市民が多いとか、コミュニティ活動が活発であるとか、要素は何でもいいのですが、要は「個性があり、暮らしていて楽しい街かどうか」が重要であり、そうしたところに「愛着」は根付くものでしょう。

現時点ではそうした動きは散発的であり目立ちませんが、これから時間の経過とともに、街ごとの個性の違いが出てくるはずです。「無個性」というのもひとつの個性ですが、それがあまりにも多すぎれば問題ですね。

「愛される街かどうか」「その地域が好きで住んでいる人はどのくらいいるか」といった、一見損得とは対極にあると思えることが、暮らしの快適性や楽しさはもちろん、ひいては資産性に結びついてくるようになるでしょう。

長嶋 修:不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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