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任天堂も激怒「酷似ゲーム」会社が犯した痛恨失態 特許権侵害で訴訟され…出した"声明"にツッコミが殺到

東洋経済オンライン / 2024年9月25日 18時30分

筆者も含めて、ネットユーザーの多くは、あまのじゃくだ。ときには「あら探し」と言えるほど、ツッコミどころを探し、ちゃちゃを入れることに、ある種の達成感を覚えている部分がある。そうした性質を考えると、不用意に「ツッコミどころのある文章」を公開するのは、みずから炎上に飛び込んでいくのと同じだ。

ネットユーザーの視点を欠いた声明文

これらの状況を勘案すると、ポケットペアの声明文は、「ネットユーザーにどう受け取られるか」の視点に欠けていたように思える。主語の大きさや、感情をかきたてる文章は、平常時であればプラスになる場合もある。しかし、今回のように、その対応を問われている場面では、逆効果になりかねない。

加えて、任天堂のIP分野が、ある意味でネットユーザーから神格化されていることも大きい。これまで同社のゲームに関係する訴訟で勝ってきたことから、「任天堂法務部」は、ある種のネットミームと化してきた。

当然ながら、これは都市伝説的な意味合いが強いのだが、お堅いイメージのある「知的財産」が、エンタメコンテンツとして消費されている珍しい事例と言えるだろう。なかば冗談だとしても、「あの任天堂法務部に立ち向かうとは」といったSNS投稿は、今回のパルワールドをめぐる事案でもたびたび見られた。

つまり、パルワールドにポケモンとの類似性が指摘された時点で、すでにユーザーの脳内では、エンタメ的な「バトル」として扱われていたのではないか。そして訴訟により「ついに山が動いた」となり、そこへツッコミどころのある声明がかけ合わさることで、よりネット民のおもちゃと化してしまう。

法廷で何を語るかが重要

今回発表された訴訟は、あくまで特許権を争うもので、著作権や商標権を問うものではない。また、具体的に「どの特許の、どの部分が抵触しているか」まで公表されているわけではなく、あくまで両社がプレスリリースしている文面以上の情報がないのが現状だ。また、特許権である以上、ポケモンとの類似が指摘されていたデザイン面での争いでもないことにも、留意が必要となる。

今後の行方は、司法判断に任される。任天堂側の発表も、ポケットペアの声明も、その通過点でしかない。重要なのは法廷で何を語るかであり、その審判が評価を決める。そうした前提から考えると、自らに正当性があると主張するならば、一般向けの声明で熱弁するよりも、法廷で粛々とやるべきだろう。

よく「沈黙は金」と言われる。企業広報の場合、完全に沈黙してしまうと、それはそれで問題なのだが、「言うべき部分は言い、蛇足になるところは言わない」といったコントロールが重要となる。今回のパルワールドをめぐる声明に欠けていたのは、そのバランス感覚だったのではないだろうか。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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