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子供に「大人みたいなアレルギー」が増えている訳 「食物アレルギー・花粉症」低年齢化の意外背景

東洋経済オンライン / 2024年9月26日 10時0分

食物アレルギーも、地域ごとの食志向によって原因の違いがあり、なかでも、寿司や刺身をよく食べるため、日本人にはアニサキスアレルギーがかなり多いのではないか、と考えられるようになってきました。

国立感染症研究所の統計によれば、生きているアニサキスという寄生虫が、胃や小腸に突き刺さってしまう「アニサキス症」の新規患者数は、毎年2万人ずつ増えていると試算されています。

一方、アニサキスアレルギーは、アニサキスが原因ですが、アニサキスの生死にかかわらず引き起こされるものです。昭和大学病院でも、以前は、30~50代の患者がメインでしたが、近年は10代、20代の患者も増えています。

増えてきた要因は、1つには、日本特有の食文化として、魚介類を冷凍せずにそのまま食べるということがあるでしょう。他の微生物は加熱や冷凍といった処理で殺処理が施されるように法規制が進んだことにより汚染が減りましたが、アニサキスに対する規制は不十分なままです。

そして、魚介類の流通が良くなったことも挙げられます。かつては、港町に足を運ばなければ食べられなかったものが、獲れた当日中に、市場を介して食べられるようになりましたし、チルド技術も向上しました。魚肉の消費量が減る一方、多様な海産食材を口にする機会が増えました。

また、輸入水産物も関係するのではと考えています。輸入水産物の中には、「どの海域由来の魚なのか、飼育環境がどのようなものか」がよくわからない商品もあります。ほとんどの国では、法規制もあり、日本のように魚を生で食べる文化がありません。特に欧米は、極度の冷凍をしてから食べますから、既に死んだものと見なされて、出荷前や客への提供前に生きているアニサキスがいないかどうかを目視する習慣はないでしょう。

アニサキスの多い海流で獲れたかもしれないし、アニサキスを減らすための調理加工が十分ではない状態で、日本に輸入されているかもしれない。もちろん推測の域を出ませんが、私は可能性として考えています。上記の理由が組み合わさり、アニサキス症が増えていることにより、アニサキスアレルギーも増えているのではないかと考えています。

病気と向き合いやすくなる

アレルギーの病態、メカニズムを医療関係者以外の方が正確に知る機会はなかなかありません。本書『アレルギー』は、免疫学の考えに基づいて、一般向けに解釈したことが書かれていて、非常に役立つ内容です。医師からの説明を理解しやすくなり、自分の病気と向き合いやすくもなるでしょう。また、アレルギーのことを学び始めた医療従事者にとっても良い参考書になるはずです。

(後編に続く)

鈴木 慎太郎:医師・医学博士

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