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ダイソン「オーディオ参入」にストーリーはあるか 競争が激化する中で新規参入を決めた意図とは

東洋経済オンライン / 2024年9月26日 8時0分

社会問題を解決するための商品

ファミリービジネスであることの利点として、ジェイク・ダイソン氏が話していたのは目先の収益を追うのではなく、社会問題を解決するために実験的な技術を開発し、それを商品化に向けてドライブできる決断を下せる点をDyson Zoneの時に強調していた。

しかしながら、OnTracにはそうしたストーリーが見つからない。

いや、正確にいうならばジェイク・ダイソン氏は、それについて説明はしているが、腹落ちしてこないというほうが正しいだろう。

OnTracと掃除機やヘアドライヤーとヘッドホンに共通点はないように思える。しかし、ジェイク・ダイソン氏は「すべては空気の流れをコントロールすることから始まる」と語る。ダイソンは空気清浄機やヘアドライヤー、掃除機などの製品開発において、リソースの20%が騒音低減など、音響技術の研究開発に費やされており、そうした音響技術開発がOnTracの開発に生かされていると話した。

この説明には聞き覚えがある。

なぜなら、Dyson Zoneの際に同じストーリーを聞かされたからだ。

OnTracの最大の特徴として圧倒的なノイズキャンセリング性能があるという。各イヤーカップに配置された計8つの高精度マイクロフォンが外部の音を精密に捉え、最大40デシベルまでの外部音を、97%のオーディオ周波数で遮断するという。なかなか複雑な説明だが、最大40デシベル低減できる特定の周波数があり、可聴帯域の97%において低減効果をもつということなのだろう。

確かにトップクラスの性能はある。しかし十分に高いノイズキャンセリング能力を持つ製品は、今や他社にもたくさんある。厳密な性能差を比較する必要があるほど、その平均的な能力は低くない。要はほとんどの製品は“いいね!”と言えるレベルを超えているということだ。

一方で、確かにダイソンらしいと思うところもある。

例えば、マイクロファイバー採用のイヤーパッドが持つ質感や、形状、記憶フォームの品質、3つの大容量バッテリーをヘッドバンドに仕込んだ設定や、快適な装着感などは、より大柄なDyson Zoneの経験が活きている。

クラフトマンシップを感じるヘッドフォン

妥協を許さない質感や仕上げの細かな部分へのこだわりに関しては、クラフトマンシップを感じると思うほどだ。パッケージ全体の仕上げも含め、この製品がデザインや仕上げの面で優れている事は決して否定しない。装着感もとても良い。

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