優秀な上司でも「性格が原因で降格」が急増のナゼ これから「仕事できる」定義が激変する深刻背景
東洋経済オンライン / 2024年9月26日 9時0分
仕事が速い人が自分のペースで仕事を進めようとすると、こういった状況を作ってしまいがちです。
また、せっかちな人は部下の仕事が終わるのを待てずに次の指示を出し、さらなるプレッシャーを与えます。
それが部下にとっては過剰な負担となり、精神的に限界を迎えると離職に至ります。
部下にきつい人の評価が変わりつつある
私は経営心理士として人間心理に基づく経営コンサルティングを行っています。
私がコンサルティングに入った現場で問題となっていた「複数の部下を辞めさせる上司」は、その多くがきつい言葉を使う人か、言い方がきつい人、過剰な圧を与える人でした。
ただ、そういった人でも、仕事ができる人は高い評価を受けていました。
なぜなら、人事評価基準が「個人の業務の成果」を重視するものだったからです。
しかし、その状況が今、変わりつつあります。
ある運送業の会社では、執行役員を降格させました。
その理由はその人の部下に対する当たりがきつく、それが原因で複数の部下が辞めたためです。
また、ある建設関連業の会社では営業部長が新人の態度に腹を立てて叱ったところ、新人が出社しなくなり、そのまま退職しました。
その責任を問われ、営業部長は降格となりました。
執行役員や営業部長に上りつめるほど優秀な方でも、社員の離職が原因で降格となったわけです。
その背景には深刻な人手不足があります。
人手不足の会社でいちばんの問題は人が辞めること
今、深刻な人手不足に陥る会社が続々と増え、人手不足が原因の倒産は過去最多を更新し続けています。
これ以上社員が辞めたら現場が回らなくなる。
そういった会社でいちばんの痛手となること、それは「人が辞めること」です。
そのため、いくら仕事ができても部下を辞めさせる社員は会社にとっていちばんの痛手となることを引き起こすため、厳しい処分が下されるケースが増えています。
そして、部下を辞めさせる社員の典型例が「部下にきつい社員」なのです。
内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、2010年には8103万人だった15~64歳までの生産年齢人口(国内で行われている生産活動に就いている中核の労働力となる年齢の人口)は、2020年には7509万人、2030年には6875万人、2040年には5978万人、2050年には5275万人まで減ると見込まれています。
そのため、今後ますます人手不足は深刻になると予想されます。
そうなればなるほど、部下を辞めさせるきつい上司は、高い評価を受けられなくなるでしょう。そして、場合によっては厳しい処分を受けることにもなるでしょう。
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