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明大と東大、井の頭線「2つの大学駅名」誕生秘話 開業当初は少々物騒な名前だった「明大前」

東洋経済オンライン / 2024年9月28日 7時0分

対する京王線では、連続立体交差事業の工事が進んでいる。笹塚―仙川間を高架線にするもので、明大前駅は2面4線に拡張される予定である。新しい駅舎のデザインもイラストで公開されており、南北両方向からアクセス可能になるようだ。

「駒場東大前」の由来

井の頭線の駒場東大前駅が誕生したのは明大前駅よりかなり新しく、1965年のことだ。こちらは駒場駅と東大前駅の統合によって誕生しており、それぞれの旧駅が開業したのは1933年だった。駒場は駅の所在地、東大前は東京大学駒場キャンパスがあることにちなむ。

駒場キャンパスの場所には、明治から大正時代にかけては当時の東京帝国大学農学部が置かれており、昭和初期に文京区弥生にあった旧制高等学校の第一高等学校と敷地交換され、以降は一高のキャンパスとして知られたが、第2次世界大戦後の学制改革で東京大学教養学部となっている。

よって、井の頭線が開業したときは東駒場・西駒場だった駅名は、その後一高前・駒場となり、戦後一高前駅が東大前駅に改称した後、統合という経緯をたどっている。

島式1面2線のホームは地平にあり、東口は2階にある橋上駅舎だが、西口駅舎は駅の南側から続く窪地の線路下にあるので地下1階になる。

東大生以外も学生が多い

東口はさらに線路の南北に出入り口があり、北側は東大口と呼ばれている。改札を出て階段を降りていくと、目の前に一高時代に建造された正門と本館が迎えてくれる。ここは駒場Iキャンパスであり、駒場公園を挟んで西側に駒場Ⅱキャンパスもある。

これ以外に駅の周辺には、筑波大学附属駒場中学校・高等学校、東京都立国際高等学校、日本工業大学駒場高等学校などもあり、中学生や高校生の利用も多い。

それを示しているのが2023年度の1日平均の乗降人員で、3万4257人という数字は、井の頭線では明大前駅に匹敵する。そして同社広報部に聞いた、定期利用と定期外利用の比率は64.7:35.3で、前者がかなり多い。

「東京大学の試験日は受験生でホームが混雑するため、駅係員を増員してお客さま誘導とホーム監視による安全確保に努めている」(同社広報部)といい、こちらも受験シーズンには特別の対応を行なっている。

さらに駅周辺では、駒場駅・東大前駅の面影も見ることができる。

2面2線の対向式ホームがあった駒場駅は、吉祥寺方面のホーム跡が残っており、反対側にも空き地があって、ホームが存在していたことがうかがえる。

東大前駅は1面2線の島式ホームで、東口南側の出入り口から道路に伸びる通路には、通常は線路脇に立てられる広告看板が並んでおり、この場所に以前は線路があったことが想像できる。

さらに駅南側の駒場東大前商店街は、以前は東大前商店街と呼ばれていたようで、街灯などにその表記が残っている場所もある。

対照的な大学前駅

2つの駅を訪れた印象をひとことで言えば、にぎやかな明大前駅、落ち着いた駒場東大前駅となる。

明大前駅は乗換駅であり、高架化工事が進行中であるのに対し、駒場東大前駅は逆に駅が統合されて半世紀以上経過していることもあろうが、駅名に冠した大学の校風が、周辺の雰囲気に波及しているような気もした。

森口 将之:モビリティジャーナリスト

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