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米大統領選は副大統領候補で決まるかもしれない 共和ヴァンス氏と民主ウォルズ氏ガチンコ対決

東洋経済オンライン / 2024年9月28日 9時30分

目下のヴァンス氏の評判は芳しいものではない。特に「『子どもの居ないネコ好き女たち』(Childless Cat Ladies)はみじめな人生を送っている」という発言は、大いに物議を醸したものだ。

女性と独身者とネコ好きを、同時に全部敵に回す愚かな発言であった。特にテイラー・スウィフトさんを怒らせたのは痛かった。3億人ものフォロワーを有する偉大なるポップスターは、9月11日にインスタグラム上で「カマラ・ハリス候補への支持表明」を行ったが、わざわざネコを抱いたみずからの写真を添えている。彼女は大の愛猫家だったのだ!

ヴァンス氏がカトリックに改宗した「深い理由」

それでもヴァンス氏が悔い改めた様子はない。あくまでも伝統的な家族制度への回帰を夢想する確信犯なのである。

ヴァンス氏は2019年にプロテスタントからカトリックに改宗している。その間の経緯を『ザ・ランプ』という宗教サイトに寄稿している。「私はなぜレジスタンスに参加したのか」という告白手記はなかなかに興味深い。

いわく、今のアメリカ社会では出世の階段を昇り、厳しい競争の中に身を置くにつれて「無宗教」であることを求められるようになる。自分もある時期、「リバタリアニズム」に浮気した。しかし最後は、信仰に回帰することにした。決め手になったのは、「地域の絆」を失うことへの恐れと家族を得たことにあった、と語っている。

ヴァンス氏は保守思想家の中でも、「ポスト・リベラリズム」に位置付けられている。アメリカの伝統的な自由主義が、家族や地域社会の崩壊を招いたことを批判し、大胆な転換を模索する一派である。保護貿易や移民制限などのトランプ路線は、単なる経済政策ではなく、「地域社会を再生するための実験」なのだそうだ。

それは「古き良きアメリカ」への回帰なのかもしれないが、われわれのかつて知ったる陽気なアメリカ社会とはかなり違うものになりそうだ。ともあれ、11月5日の選挙でトランプ氏が勝った場合は、そんな未来もひとつの可能性として浮上するだろう。

共和党のJ.D.ヴァンス氏が「孤高のインテリ」だとしたら、民主党のティム・ウォルズ氏は誰にでも愛される「ご近所のおっさん」である。

「ご近所のおっさん」の絶妙な「わきまえ感」とは? 

ウォルズ氏もまた、民主党の副大統領候補としては「穴馬」であった。本命と目されていたのはジョシュ・シャピロ知事(今年の選挙の天王山たるペンシルベニア州!)であった。ほかにも元宇宙飛行士の経歴を持つマーク・ケリー上院議員(アリゾナ州)、頭脳明晰で能弁なピート・ブティジェッジ運輸長官など、有力な選択肢があった。ところがハリス氏が選んだのは、見た目は冴えないウォルズ知事(ミネソタ州)であった。

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