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AIにはできない「個性」を生かす仕事に見る希望 「格差が助長される」と嘆く人に伝えたいこと

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 14時0分

一方で、どうしても生身の人間とやり取りしたい、アドバイスを聞きたいといったニーズはゼロにはならないでしょう。ただしこれには人件費がかかりますからオプション料金の扱いでしょう。

誰のアドバイスでもよいわけではなく、「あの人のアドバイスを聞きたい」「あの人から買いたい」といった、プロフェッショナルな個人に紐づいたニーズが必ず出てくると思います。

このようなサービスには希少性が伴いますので、不動産取引で言えば従来の仲介手数料である「物件価格の3パーセント」といった報酬規定上限を超え、もっと高額な報酬が発生するようになるなど、レアなビジネス形態が生まれるのではないでしょうか。

「500万円、いや1000万円払ってでもあの人のアドバイスやサービスを受けたい」と顧客から求められるスーパービジネスパーソンの誕生です。テクノロジーの進展で従来のサービスが安価に、適切に受けられるようになる一方、人に紐づいたぜいたくなオプションが新たに誕生するといったイメージです。

「個性」「特性」を売る時代

このような展開は、どの業界でも起きることが容易に想像できます。

たとえば、とあるジャンルの音楽を聴きたければネットにはいくらでも転がっているものの、特定のアーティストの作品を聴きたい、ライブに行きたいといった場合にはお金を払うといったことはすでに行われています。

音楽のほか、絵画をはじめアート系の領域ではすでにそうした取引が成立しています。これが、あらゆるビジネス領域で展開されるといったイメージです。

ただしどんな領域でも、ということにはならないでしょう。

たとえばコンビニやスーパーで買い物をするといった、日常の、差別化しにくい事業領域では徹底的な省力化が行われることとなり、ほんの一部で「ちょっと高くても、あの人がいるお店で、あの人から買いたい」といったニーズが出てくることになるでしょう。

肉や野菜などの食料品は、さらなるテクノロジーの進展で生産が容易になると思われ、より低廉な価格で流通しそうです。しかし、ここでも「あの人が作った野菜が食べたい」といった特定の生産者へのニーズが今より強烈に生まれ、やはり高額取引となるはずです。

あらゆる医療もコンサル業も、エステなども、同文脈に置かれることとなるはずです。

ビジネスの世界では、個人も企業も「個性」「特性」を売る時代になっています。大企業でもない限りマスを相手にする必要はなく、相思相愛の顧客と深くつながればよいでしょう。そのツールとして各種SNSがあります。

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