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サイバー攻撃の被害「警察に言いにくい」ダメな訳 企業も躊躇せず通報が潜在的な被害をなくす

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 9時0分

サイバー犯罪は外国の捜査機関との国際共同捜査や都道府県を横断した捜査が必要となることが多くある(mits / PIXTA)

サイバー空間の脅威は、深刻な状況が続いている。フィッシング対策協議会によると、2023年のフィッシング報告件数は119万6390件と前年比23.5%増で過去最高を記録した。インターネットバンキングによる不正送金事犯による被害も5578件、被害総額は過去最高の87.3億円で前年比474.6%もの増加である。

【写真を見る】サイバー警察局とサイバー特別捜査部を設置した経緯と役割について話す警察庁サイバー警察局の阿久津正好氏

一方、ランサムウェア被害は197件で、前年比14.3%減ではあるものの高い水準で推移している。サイバー攻撃者が攻撃の前に行う脆弱なパソコンを探索する行為と見られるアクセス件数は前年比18.6%増で、2011年以来、右肩上がりで増加しており、送信元は海外からのアクセスが大半である。

サイバー警察局とサイバー特別捜査部の役割

このような状況に対し警察庁は2022年4月、警察庁内にサイバー警察局とサイバー特別捜査隊(2024年4月にサイバー特別捜査部へ昇格)を設置した。その経緯と役割について、警察庁サイバー警察局サイバー企画課長の阿久津正好氏はこう話す。

「警察では平成初期からサイバー空間の脅威に問題意識を持ち、継続的に組織や人材の育成を行ってきましたが、その中で問題になってきたのがリソースの分散です。

例えば、サイバー犯罪を全般的に担当する情報技術犯罪対策課は生活安全局、国家が背景にあると思われるサイバー攻撃を担当するサイバー攻撃対策室は警備局、技術系職員の育成や分析・解析を担当するのはまた別の部門という形になっていましたが、人的、物的リソースは一元的に集約することではじめて対処能力が向上します。

高度化、複雑化するサイバー空間の脅威に対し、各部門がバラバラに対応するのではなく、捜査の指導や情報の集約、技術的な解析、民間企業との連携を一元化するという観点から、サイバー警察局を設置しました」

一方、重大サイバー事案への対処を担う国の捜査機関として関東管区警察局に設置されたサイバー特別捜査隊は、また別の理由で立ち上げられた。阿久津氏が続ける。

「これまでの歴史的経緯から、警察は各都道府県に捜査部門があり、警察庁は政策立案や全国の捜査の調整等を行うという立て付けになっています。しかしサイバー犯罪は、県境はもちろん国境も容易に超えるので、サイバー関係の捜査は各国の捜査機関と連携し、各国が持っている捜査情報を持ち寄って犯人をあぶり出して捜査していかないと検挙につながりません。

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