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家族でヒヨコを育て、時には「丸焼き」にする生活 住宅街にある自宅の庭を活用してヒヨコを飼育

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 16時0分

ヒヨコのいがぐり頭から真新しい命の匂いがする。ヒヨコの購入に際して、あんなにマイナスなことを言うべきでなかったと反省。

3月の冷たい雨が降り、寒さにプルプルと震えているヒナもいたので夜中も湯たんぽを交換した。子供たちは庭に行ってヒヨコが食べそうなものを探している。玄次郎はスダジイの実を拾ってきて、ミルサーにかけてエサを作った。「これ、食うかな? あ、食べた!」。生き物を飼うと、子供たちが命のために何かをしたいと本能で働くようになる。

静まり返るヒヨコハウス

ヒヨコはよく動き、よく食べ、よくフンをする。おがくずの代わりに敷いた新聞紙を細かくちぎったものを脚で後ろへ蹴っては、エサを探すしぐさをしたり、ニャー! とおどすとパッと頭から物陰にもぐったりする。

夜7時になるとヒヨコハウスはピタリと静まり返る。あまりにも静かなので、 そっと箱の隙間からのぞきこむと、ヒヨコたちは酔っぱらいのようにバッタリ倒れてぐうぐう寝ている。

次の日、箱から元気に飛び降りてくるヒヨコは、ひと回り大きくなって羽も伸びている。その成長の速さは、不気味なほどだった。

あっという間に、丸っこいヒヨコ時代は去り、フワフワの羽毛に濃い茶色の羽根が混ざってくる。ボサボサの中途半端な姿はおせじにも可愛くないが、大人の姿になる一歩手前で、ちょっと澄ましてみたり、やんちゃなことをしている様子は中学生のようで、ヒトもニワトリも変わらないなぁと思う。

ヒナたちがすくすくと育っている間に、家の下のスペースではトントントン、ダダダダ……と文祥によるニワトリ小屋の建設が進んでいた。

ニワトリと暮らす毎日

絵本のようなのどかな光景にわくわくして、吞気に写真など撮っていられたのは、ほんのいっときのことだった。

ニワトリは、台所から出る野菜くず、貝がら、鹿の雑肉や内臓などの生ゴミをきれいに平らげてくれる。残すのはタマネギの皮くらい。とくに肉類には目がなく、肉のかけらを見つけるとガシッとくわえて小さなティラノサウルスのような姿で走り去っていく(けっこう足が速い)。無我夢中で鹿の脳味噌などをついばむ顔は、狂気にとりつかれた老婆のようだ。

ついに、若鶏たちは残飯では足りずに、庭に生えているものを片っ端からつつきはじめた。あっという間に育てていた野菜や花が丸裸になった。そのうえ柵の上に飛び乗ったり、狭いところをくぐったりして、どこかに出かけてしまう。なんだか庭が静かだと思うと、決まって隣家の敷地をうろついているのだった。

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