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トコジラミ、駆除のプロが証言する「本当の怖さ」 「20㎡で17万6000円」でも依頼急増、納得のワケ

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 8時0分

ダスキンでも、「人間に可能な限り害の少ない殺虫剤を、ごく少量、生息場所にピンポイントで使って退治する」という理念で駆除サービスが設計されているそうだ。実際の流れを見てみよう。

まずは、棚と壁の隙間など、生息場所になりそうな場所の徹底した調査だ。ときには、1個1個荷物を動かしたり、押入れの段ボールの中まで確認することもある。まさに「しらみつぶし」だ。

依頼者からは、「タンスを動かしてもらい、背面と下の空洞にトコジラミがいたときに、そこまで見てくれるんだ、そんなところにいるんだと驚きました。なんかその部屋でかまれると思った」といった声が寄せられている。

場所を特定したら、業務用掃除機で物理的に吸い取る。しかしそれだけでは、卵や小さな幼虫などは付着していて吸引が難しい。その対策として、次に行われるのが冷却処理だ。液化炭酸ガス(ドライアイス)をパウダー状にして噴射するのだ。卵は冷却処理により壊れたり、中身が変性して幼虫が生まれなくなる。

最後に、生息が疑わしい場所にのみ薬剤が注入される。べッドの木枠のつなぎ目や、ベッドマットの縫い目などだ。これらの隙間は巣になりやすく、駆除したタイミングにたとえトコジラミがいなくても、戻ってくる可能性があるからだ。ただ、薬剤を使用する場所はあくまで「人間の手で触れない場所」。または、シーツなどをかければ人間が触れても安全な場所に限られる。

炭酸ガスで窒息させる方法もある

さらに、ダスキン独自のオプションメニューも。冷却処理や薬剤処理ができない大切なアイテムや、お子さんがなめる可能性があるぬいぐるみなどを、プラスチックのケースに入れ、袋で覆ってから炭酸ガスを充満させるのだ。トコジラミは二酸化炭素で窒息し、駆除される形になる。

なお、トコジラミ駆除を業者に依頼すると、家具や布団、衣類をすべて捨てることを提案されるケースも少なくない。だが濱田さんは、「もちろんケースバイケースですが、ダスキンでは、大体の場合は捨てなくても冷却や薬剤処理で駆除します」という。

それを可能としているのは、徹底した安全性への配慮だ。ダスキンが使用する薬剤は、厚生労働省に認可された有機リン系のもの。一般的には人体への影響も心配される薬剤だが、ダスキンでは、マイクロカプセルに包まれたタイプを使用する。これなら万一人の口に入っても、マイクロカプセルのまま排泄される可能性が高いという。

さらに、念には念を入れて、駆除効果の確実性を高めるシステムもある。トコジラミ駆除サービスは通常30日契約で、駆除後、ゴキブリホイホイのようなトラップをしかけて7~10日後に点検がなされる。その後さらに約10日後、もう1回点検。本当にトコジラミがゼロになるまで、二重三重にチェックが行われているのだ。「1回めの処理でほぼ駆除できるのですが、もしもの生き残りが出ないように、完全駆除の確実性を高めています」(山中さん)。

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