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東京で「貧しい日本人」を排除する施設が増える訳 庶民にも開かれた大阪、ニセコと大差ない東京

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 9時30分

その点で、渋谷ではどこでも、だれでも座れる空間の減少が顕著に起こっていると思う。お金を払わないと、座ることすらできなくなっているのだ。

インバウンド向けの「東急歌舞伎町タワー」

東急の事案ばかりを取り上げるのも何だか忍びないが、新宿に誕生した東急歌舞伎町タワーを見たときも、同じようなことを思った。

ここは地上225m、地上48階という複合商業施設で、ゲームセンター・namco TOKYOや、映画館の109シネマズプレミアム新宿などが入居する。さらに高層階には2つのホテルがテナントとして入り、インバウンド向け施設という側面もある。

ここを訪れると気付くのは、館内全体の「インバウンド向け」感だ。

低層階に入る飲食街「新宿カブキhall〜歌舞伎横丁」は、北海道から沖縄に至る日本全国の名物が食べられるようになっており、そのケバケバとした装飾を含めて、明らかに「日本的なるもの」を押し出している。

それに、建物には全体的にネオンが輝いていて「ネオ・トーキョー」的な雰囲気もある施設になっている。

施設としても、高層階は2種類のホテルが入っており、一大観光地である歌舞伎町を目当てにやってきたインバウンド観光客のための施設、という印象を受ける。

そのコンセプトといい、内容といい、全体が「インバウンド向け」になっている。東急自体は明言しないだろうが、どこか「日本人お断り」の感さえ受けてしまう。

麻布台ヒルズに多様性はあるのか?

興味深いのは、こうした近年の再開発のコンセプトではしきりに「多様性」が叫ばれていることだ。

東急歌舞伎町タワーのホームページによれば、この施設は『極められたさまざまな「好き」の想いとともに街の未来や文化、延いてはさらなる多様性を紡いでいくこと(MASH UP)を目指します』とのこと。

あるいは、森ビルが2023年に完成させた「麻布台ヒルズ」もそうだ。そのロゴデザインは「様々な人々や価値観を受け入れて、時の経過とともに多様性を増しながら育まれる街のロゴ」らしい。まあ、近年の再開発事案のコンセプトではだいたい「多様性」という言葉が入っているし、とりあえず「多様性」という言葉を入れておけば、「なんかいい」感じになる。

とはいえ、そうしたビルの多くが、高所得者層やインバウンド需要に対応した施設になっているのは皮肉な話だ。

そう考えると、こうした施設は北海道の観光地・ニセコと同じようなものなのかもしれない。ニセコは現在、外国人観光客から絶大な支持を集めており、徹底的に外国人富裕層に向けて空間作りが行われている。よく話題になる話だが、そこに行けば商品やサービスの値段は「ここ日本かよ?」と思ってしまうような値段だし、街の看板は英語だらけだ。

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