東京で「貧しい日本人」を排除する施設が増える訳 庶民にも開かれた大阪、ニセコと大差ない東京
東洋経済オンライン / 2024年9月30日 9時30分
『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか 「地方創生」「観光立国」の無残な結末』(講談社+α新書)で、マリブジャパン代表の高橋克英氏はニセコが観光地の成功理由を、外国人富裕層に「選択と集中」したことに求めている。ニーズが多様化・複雑化する現在、そのようなセグメンテーションは、ある商業施設なり観光地が成功するのに必須だろう。ニセコはその成功をわかりやすく表しているが、東京にある多くの商業施設もそのようになっているのではないか?
いわば、東京は「ニセコ化」しているのではないか?
もちろん、そうした富裕層向けのセグメンテーションは必要だ。それに、儲けることを否定しているわけではない。むしろ、どんどん儲ければいい。
ただ、その結果として、「とりあえず多様性」「とりあえず富裕層向け」「とりあえずインバウンド向け」といった同じような場所ばかりになってしまうと、庶民はどこへ……となってしまうのだ。
私が問題にしたいのは、この「ニセコみたいな場所ばかりができてしまう」ことに対する違和感であり、「金太郎飴」のようなビルばかりが誕生してしまっている、多様性のなさへの違和感なのだ。
緑が「あればいい」わけじゃない
ちなみにそうした「多様性」の象徴だろうか、そこにはGRAND GREENと同じように存分に緑がある。森ビルは六本木ヒルズからの再開発のたびに、それぞれの施設の緑化面積を増やしている。六本木ヒルズの緑化面積が約1万9000㎡なのに対し、麻布台ヒルズの緑化面積は約2万4000㎡である。
ただ、そこがGRAND GREEN OSAKAのような開放性のある緑なのかというと、疑問がついてしまう。芝生はあるにはあるが、養生中の場所も多く、寝っ転がっている人は見かけられない。また、座る場所はいすで細かく指定されていて、視界に入る景色も高層ビルばかりでどこか圧迫感がある……。
書籍『都市の緑は誰のものか』(ヘウレーカ・2024年)の中で、南山大学総合政策学部准教授の太田和彦は、自然と人間の関係を「機能的価値」だけで捉えることに警鐘を鳴らす。「機能的価値」とは、植物があることによってCO2がこれだけ減る……といった数字で表せるような自然の価値のことだ。ただ、考えればわかるように、私たちにとって自然とはそうした数字で表せるだけでなく、もっと情緒的な価値を持っている。「ただあればいい」ものではない。
緑を建物に取り入れる際には、そうした人間の情緒的な側面までを踏まえてそこがデザインされる必要があるのだ。その意味でも、正直、麻布台ヒルズにある緑は「あればいいんでしょ」といった感じを受けてしまうのは筆者だけだろうか。
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