1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

堀江貴文「退職金は給与後払い」という悪しき習慣 働き盛りにもらうお金のほうが何倍も価値がある

東洋経済オンライン / 2024年10月1日 10時30分

(写真:徳間書店提供)

企業は退職金制度を福利厚生のようにアピールし、従業員もポジティブなイメージを持っている人が多いかもしれません。しかし、表面的なイメージと裏腹に、退職金制度は企業にとって都合よくできているのです。堀江貴文氏の著書『ニッポン社会のほんとの正体 投資とお金と未来』より一部抜粋・再構成のうえ、その実体をお届けします。

退職金(退職一時金)とはなんだろう?

長年の勤務に対する功績報酬。退職後の生活支援金。だいたいそんなポジティブなイメージを持っている人が多いと思う。でもその認識は半分正しくて、半分誤りだ。

たしかに定年になってそれなりの退職金を得れば、老後の足しにはなるだろう。退職所得には大きな税制優遇もある。でもそこで手にする退職金はなんら特別なものではない。その実体は「給与の後払い」にすぎないのだ。

退職する従業員に会社がまとまった額のお金を一括支給する――。実はそのような制度は世界にあまり例がない。日本独自の習慣なのだ。現在の退職金制度が普及したのは戦後すぐのころである。

当時、企業はどこも深刻な資金不足におちいっていた。低賃金で働かされる従業員の不満は爆発寸前だ。そこで多くの企業の取った策が、いまは賃上げしない(賃上げできない)代わりに定年時にまとまった報酬を支給するというスキーム、つまり「退職金」の導入だった。毎月支払うべき給与の一部を後払いするというわけだ。

そうして労使が歩み寄り、企業は戦後不況を乗り越えていった。やがて朝鮮特需が到来し、高度経済成長期に突入するのだ。そのときの退職金制度がそのまま今日にいたるまで受け継がれているのである。

しかしいまは戦後ではない。当時とはまるで状況が違う。それにもかかわらず多くの企業がかつての退職金制度を変わらずに用いている(2023年時点で退職金制度のある企業の割合は約75%)。

なぜだろう? そう。そういうことだ。退職金は企業にとって都合のいい制度にほかならないからだ。

無利息で運転資金を調達できるのである。しかも後払いの際(退職金を支払う際)には感謝までされる。さらに万が一倒産し、退職金にまわす資金がなくなったら支払う必要はない。魔法のような資金スキームである。つまり退職金制度は従業員のためにあるのではない。企業のためにあるのだ。

でも一方で、退職金制度は福利厚生(従業員やその家族に対する生活支援)の一環だとアピールする経営者も少なくない。冒頭で挙げたようなポジティブなイメージがまかり通っているのはそのせいだ。

福利厚生というアピールはミスリード

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください