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近視の人は要注意、若くても陥る「緑内障リスク」 40代になったら受けておきたい「目の検査」2つ

東洋経済オンライン / 2024年10月1日 10時0分

緑内障になると視野が欠ける症状が出てくるが、初期に自覚するのは難しい。その理由を相原医師はこう説明する。

「視野が欠けるというと、一部が黒くなるようなイメージを持つ人が多いのですが、それは間違いです。視野の一部が“霧がかかったようにかすむだけ”なのです」

さらに鼻側の視野から欠けることが多いため、両目で見るとそれぞれの視野で欠けている部分を補ってしまう。高齢者の場合は、視野がかすむのを白内障だと思い込んでしまうこともある。

緑内障が進行すると、欠けた範囲が広がっていく。その結果、文章を読んでいるときに文字を読み飛ばしてしまったり、運転中に突然、横から人が飛び出してくることに気づかないでヒヤッとしたりするようになる。

こうして視野が欠けていることを自覚するそうだ。

ただ、自覚症状が出てからの治療は厳しいのが現状だ。今の医学では傷んだ視神経を治療で元に戻すことはできず、進行を遅らせることが目的となる。したがって、治療が遅れるほど失明するリスクが高くなる。

一方、自覚症状がない初期の段階で緑内障が見つかれば、治療によってその状態を維持でき、視野が欠けて見えにくくなるといったことや、失明するリスクは低くなる。

緑内障は「点眼薬」で治す

では、緑内障の治療ではどんな治療が行われるのか。

まずは、眼圧を下げる点眼薬が基本となる。目指すのは症状を悪化させないことで、2~3カ月に1回、定期的に受診して治療を継続していく。

点眼薬で眼圧が十分に下がらず、症状が進行していく場合は、手術をすることもある。ただ、手術は房水の流出をよくして眼圧を下げることが目的なので、緑内障による神経の障害を根本的に治せるわけではなく、術後も通院が必要となる。

頻度は少ないが、点眼薬が効かない緑内障のタイプ(閉塞隅角緑内障)もあり、この場合は最初から手術が必要になる。

一般的にみて「緑内障は恐ろしい病気」と思われているが、正しく理解して、治療を受ければ、決して怖くはない。実際に緑内障になって失明する人は、1%もいない。

「緑内障と診断されただけで仕事を辞めてしまったり、うつ病になってしまったりする方もいます。そもそも、健診などで指摘されたのに怖がって受診しないという方もいます。適切な治療を受ければ、生涯普通に日常生活を送れる可能性が高い。自覚症状がないうちに診断されたらラッキーだと思って、治療を受けてほしいと思います」(相原医師)

(取材・文/中寺暁子)

東京大学医学部眼科学教室教授
相原一医師

1989年、東京大学医学部卒、98年、東京大学大学院生化学細胞情報部門卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校緑内障センター主任研究員、四谷しらと眼科副院長などを経て、2015年から現職。日本眼科学会指導医・専門医、日本緑内障学会理事。

東洋経済オンライン医療取材チーム:記者・ライター

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