スズメの減少率が絶滅危惧種レベルという危うさ 全国1000カ所で20年間、研究者と市民が調査
東洋経済オンライン / 2024年10月1日 17時0分
スズメなど身近に見られる生きものがどんどん減っている――。環境省生物多様性センターと環境NGO、研究者、市民らが全国約1000カ所で2003年から続ける生態系のモニタリング調査のまとめが1日公表された。
8つの分野で植生、鳥類、哺乳類、淡水魚、底生生物、藻類、サンゴ礁など広範な生きものを調べた。20年間続けて初めて明らかになった異変もある。私たちが慣れ親しんできた鳥やチョウは見られなくなってしまうのか。
農地や草地の鳥が急減
この調査の正式名称は「モニタリングサイト1000」(通称「モニ1000」)。生物多様性保全施策に活用するために、研究者や市民の協力を得て環境省が行ってきた。2024年4月時点で、参加者は研究者、市民調査員あわせて5120人。膨大なデータや報告書は5年に1度、まとめて公表される。前回は2019年11月に公表された。
今回のまとめで注目されるのは「里地調査」。2005~2022年度の18年間に合計325カ所で約5700人が調査にあたった。かつては、国土の約4割を占める里地(里地里山とも呼ばれる)の調査は不可能と言われた。そのほとんどが私有地だからだ。調査を受託した日本自然保護協会が全国にめぐらすネットワークを通じて調査が可能になった。
「里地調査」では、出現頻度の高い鳥類106種の個体数を記録したところ、このうちスズメやツグミを含む16種は、1年あたりの減少率が環境省のレッドリストの「絶滅危惧IB類」「絶滅危惧II類」に匹敵する値を示した。
こうした調査と同時に、研究グループによる解析も行われた。農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市)の片山直樹主任研究員らの研究グループは、2009~2020年に得られた「モニ1000」のデータから47種類の鳥を選んで3つのグループに分け、記録個体数の変化を比較した。
その結果、農地、草地、湿地など開けた場所を繁殖期に利用するグループ(カルガモ、カワセミ、スズメ、セグロセキレイ、ハクセキレイ、ヒバリ、ムクドリの7種)が、森林の鳥(21種)と里山の鳥(19種)に比べ、減少率が高かった。この7種の鳥は、気温上昇が顕著になった2015年以降に急減したという。
また、里地調査では、記録されたチョウ類181種のうち、出現頻度が低い種を除いた103種の33%に当たる34種の記録個体数も急減していた。
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