原油価格、まさかの1バレル=50ドル台はあるのか 中東情勢不透明でも今後の需給は緩むばかり?
東洋経済オンライン / 2024年10月1日 9時30分
中国当局も手をこまぬいているわけではない。当局は9月24日に預金準備率の引き下げなどの追加金融緩和や株価対策、さらには住宅頭金比率の引き下げなど不動産対策も含めた大規模な景気刺激策を発表。懸命に経済を浮上させようとしている。
OPECプラスの「減産縮小開始先送り」でも市場低迷?
もちろん、世界の石油需給は需要の動向だけで決まるわけではない。OPEC(石油輸出国機構)と有力産油国で組織するOPECプラスは9月5日、10月初めから計画してきた減産幅縮小を2カ月間先送りすることで合意した。
OPECプラスは一部産油国の自主的な減産も含め、これまでは日量200万バレル(1日の世界需要の約2%)の減産を継続していた。だが、6月初めに開かれた会合では、これを10月から段階的に縮小、実質的な増産に踏み切ることを明らかにしていた。
だが、市場の不安をいたずらにあおららないよう、各加盟国の割り当ても含めて、段階的な減産縮小の計画についてかなり詳細まで公表していたはずだったが、相場が回復しないことで、あっさりと先送りせざるをえなくなってしまったことになる。
さらに問題が深刻なのは、減産縮小開始の先送りに対する市場の反応が限定的なものにとどまり、先送り発表後に一時相場が下げ幅を拡大したことだ。
9月10日に65ドル台まで一気に値を崩したWTI原油相場は、その後はアメリカのルイジアナ州に上陸したハリケーン「フランシーヌ」の影響によってメキシコ湾の石油生産が4割強減少したことを手掛かりに70ドル台まで反発。FRBの利下げも追い風となった。それでもいまのところは底値固めから本格的に反発に転じたという兆候は見られない。
もしOPECプラスが現在の減産を継続するなら、確かに需給もある程度は引き締まった状態が維持される可能性が高そうだ。だが、現状では米中で金融緩和が行われていても、それ以上に需要の落ち込みに対する懸念が強いということなのだろう。
今後も原油需要の低迷が続くなら、OPECプラスは再び減産縮小の開始を先送りせざるをえなくなるだろう。さらに、場合によっては追加減産する必要に迫られることもありうる。
ただし、これ以上の減産には難色を示している加盟国が多いのも事実だ。今年に入ってからの追加減産が、湾岸産油国を中心とした自主的な減産だったことを見てもそれは明らかだ。
また、そうした減産が、アメリカなど非OPECプラス産油国の生産拡大につながるとの懸念もある中、価格維持よりも石油市場における生産シェアの維持を優先すべく、予定通り減産縮小を始める可能性もゼロではないと考えておくべきだ。もし、今の状況下でOPECプラスの生産が増加に転じることになれば、原油価格はコロナ禍にみまわれていた2021年前半以来の50ドル台まで値を崩すことになっても、何ら不思議ではない。
原油市場をめぐる状況変化は、株式市場にも表れる
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