老いた自分と対面「老化アプリ」想定外の利用価値 「未来の自分」を知ると人生が充実する不思議
東洋経済オンライン / 2024年10月2日 13時0分
「10年後、20年後の自分はどうなっているか?」と、考えたことはないだろうか?
「できることなら知りたい」と思う人や、まったく想像がつかないという人もいるだろう。実際、今の自分の写真を老いた自分の姿に加工してくれるアプリはすでにたくさん出回っている。
驚くべきは未来の自分と対面すると、「衝動買いをやめる」「お金を貯める」「食べすぎない」といった「今すぐできる好ましい行動」につながるというのだ。
未来をありありと想像するだけで、今の自分をよい方向に変えられる――。その理由について、全米でベストセラーになっている『THINK FUTURE 「未来」から逆算する生き方』著者のハル・ハーシュフィールド氏は、未来の自分との絆を実感できるからだと語る。
仮想現実の世界で対面する「私」
「未来の自分」と話せるとしたら、何と話しかけるだろうか。その結果、何が起こるのだろうか?
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願わくば、未来の自分との出会いが、暗澹たるものでないことを祈っているし、有益であってほしいとも思う。しかしその結果、実際にあなたの生活が変わることはあるのだろうか。
この疑問に答えるため、私は数年前からあるプロジェクトに取り組んでいる。必要なのはカメラとライト、近未来的なデザインのゴーグルだ。
被験者にゴーグルを装着させ、さまざまな仮想現実(VR、バーチャルリアリティー)の空間に送り込む。そして、バーチャルミラーを通して白髪としわだらけの、老いた自分と対面させる実験だ。
もし仮想現実の世界で未来の自分と出会い、話ができたら、未来の自分に対してより強い絆を感じるのではないか。それをきっかけに彼らとの関係性が深まれば、未来の自分のために貯金をしたり、健康的な食生活を送ったりと、現在の生活を改善できるのではないか。私はそう考えた。
バーチャルリアリティーで未来の自分と出会ったくらいで、「現在の自分の生活が改善されるのか?」と思う人もいるだろう。私には、そう思える理由があった。
ここで北カリフォルニアの大学生、アンモル・バイドの話をしよう。パンデミックに突入してからの1年間、彼の食生活は惨憺たるものだった。
自分の老けた顔を見た若者の非行が減少
なにしろほとんど毎日シナモン味のシリアルとチキンサンドウィッチしか食べていなかった。この怠惰な食生活があだとなり、彼は13キロ近く太ってしまった。従来のダイエットで減量を試みたものの、効果が出ない。そこで彼が目をつけたのが私たちの研究だった。
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