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親が気づかない「できる子」の自己肯定感の低さ 手がかかる下の子ばかり気に掛けていたら…

東洋経済オンライン / 2024年10月3日 8時0分

実は、この現象は家庭内でも起こっています。

上の子は手がかからないからといって、手のかかる下の子ばかりを対応していたらどうなるでしょうか? 上の子と言っても、まだ子どもです。

「親に気に掛けてもらうには、弟以上に手のかかる子になってしまえばいい」と潜在的に考えないとも限りません。すると今まで手がかからなかった子が、急に手がかかる子になることがあります。この原理を知らずに親がその子を怒ってしまうと、事態はさらに悪化していきます。

しっかりしている子、勉強がもともとできる子ほど、できることが当たり前とみなされ、言葉で承認されることが少なく、その結果、自己肯定感が満たされていない状態になっていきます。

かつて東京大学で学生たちにこの話をしたとき、「実は私、自己肯定感が低いんです」と言う東大生が予想外に多かったことに驚いたことがあります。

彼らは小さいときから、もともと勉強ができる優秀な子であった可能性が高く、自己肯定感がさぞかし高いだろうと周囲は思うかもしれませんが、本人は、できることが当たりまえであり、周囲からの称賛もやがて慣れていきます。言われて当たり前と。また、短所があるとその称賛がなくなってしまうのではないかという恐怖心から、緊張状態になることもあります。

その結果、自分をダメ出ししていくことになります。これが「自己肯定感が下がる原理」です。自己肯定感とは、短所を含めて今の自分を肯定的に認めることができることを言います。ですから、周囲が思っているほど、もともと勉強ができる子の自己肯定感は高くないことがあるわけです。

以上のようなことから、関さんは、手がかかる下の子を意識して何とかさせようと思う必要はありません。なぜなら無意識のうちに親はその子に手をかけているからです。意識しておかなければいけないことは、手がかからない子のほうにこそコミュニケーションを積極的にとっていくことです。

では、どのようなコミュニケーションをとればいいでしょうか。単純に子どもと会話すればいいわけではなく、効果的なコミュニケーションをとる必要があります。

それは「雑談」をテーマとする会話をすることです。

効果的な雑談の方法

(1)雑談内容

雑談というぐらいですから、何でも構わないのですが、一つ注意しなければならないことがあります。それは「勉強関係」についてはテーマとして避けることです。なぜなら、子どもが話をしたくないテーマの一つである可能性が高いからです。そのようなテーマで話しかけると子どもは、その言葉を「勉強しなさい」と解釈したり、親の愚痴として受け取ったりします。また、思春期の子の場合は、友人関係についても触れてほしくない場合もあるので注意が必要です。

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