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ブックオフ「続々閉店?」報道の裏で進む大変化 「本を売るならブックオフ」は次第に過去のものに

東洋経済オンライン / 2024年10月3日 8時0分

ここでは「本を売るならブックオフ」から「本だけじゃないブックオフ」、さらに今後の展開として「ブックオフだけじゃないブックオフ」へと「ブックオフ」を軸にしつつも、それを展開することが掲げられている。

「ブックオフだけじゃないブックオフ」とは、どういう意味だろうか。実は、あまり知られていないが、ブックオフは「ブックオフ」以外にも多くの事業を行っている。

例えばその1つが、富裕層向けブランド買取サービスの「hugall」。三越や大丸、高島屋などの大手百貨店に店舗を構え、ブランド品をまとめて買い取るサービスを実施する。ブックオフのイメージとは合わないかもしれないが、「リユース」を核とするブックオフとしては必然的な展開だ。これも客層の拡大(富裕層への拡大)につながっているだろう。

あるいは、読んだ本のリストやその感想を書くことができるサービス「ブクログ」も、同グループに運営が委譲された。元々が書籍に関わるビジネスだけに、こうした事業展開も新しいようでいて、その理念は確かに踏襲されている。

「ブックオフの商材拡大」とともに、こうした事業拡大も行われており、まさに「ブックオフだけじゃないブックオフ」へとグループ全体が進化しているのだ。

ブックオフという「場所」の追求を

最後に少しだけ、今後のブックオフに期待していることを……。

先ほどの「スーパーバザー」来訪でも書いた通り、現在ブックオフでは「トレカ」商材の扱いを拡大させ、店舗によっては対戦スペースを設けている。さらにはブックオフ主催の「トレカフェス」なんかもやっていて、その力の入れようはすごい。

トレカ自体はメーカーによる安定供給等もあって、今後、利益的には薄くなるかもしれない。けれど、対戦スペースのような「場所」としての価値は、ブックオフがリアル店舗としてさらに追求すると面白いのではないか。

その点で、競合他社といえるTSUTAYAは、トレカ専門店をすでに都内に3店舗作っていて、トレカを通じた「コミュニティ」作りを強調している。

ブックオフについて書かれたものを読むと、そこで多く見られるのが「ブックオフという場所への愛着」だ。『ブックオフ大学ぶらぶら学部』(夏葉社・2020年)という本では、「ブックオフに救われた」さまざまな人の思い出が多く書かれている。今回の報道でも「ブックオフがなくなって寂しい」という声が紹介されているが、それだけブックオフは「場所」としての価値を持っているのだ。

特に近年は、アマゾンやメルカリの浸透により、新品であれ中古であれ、ネットを使えば楽にモノを手に入れられる時代。そんな中で「リアルな空間」はその空間ならでは価値を訴求していくことが、ビジネス的にも望ましい方向だろう。

「空間価値」をどのように深め、追求していくのか——。それが、今後のブックオフにとって、重要になるのではないだろうか。

谷頭 和希:チェーンストア研究家・ライター

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