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新井カープ「9月の悪夢」経営視点で見る根本原因 「急場しのぎ」の組織運営は遅かれ早かれ瓦解する

東洋経済オンライン / 2024年10月3日 17時10分

例として横山氏はある広告代理店のケースを挙げる。40年以上の歴史があるこの会社では、数年前に売り上げが減少。社長の出す号令の下で、既存顧客への営業活動を強化したという。

「注文がとれるまでは戻ってこなくていい」と言うほどの鞭の入れようだったが、結果は「大失敗」。顧客から「まるでわかっていない」「二度と来ないでほしい」と言われるような事態に陥ったという。

横山氏によると、この会社は業績が好調な時代にあぐらをかき、顧客や業界研究を怠っていた。そのため、顧客ニーズへ対応できなくなり売り上げが減少したわけだが、その理由もわからず急場しのぎの対応をしたことで、輪をかけて危機を呼び込んでしまったというわけだ。

根性論には限界がある。経営層に大事なのは、未来を見据えて、然るべきタイミングで然るべき投資を行うこと……ビジネスにも、プロ野球球団の運営にも言えることではないだろうか。現場がいくら奮闘しても、気力・体力が尽きると、一気に勢いを失ってしまうのだ。

助っ人脱落に中心選手も大不振、打線を固定できず…

思えば今年のカープは、打線の中軸として期待した外国人助っ人の2選手が開幕カードで負傷、脱落。そのうちジェイク・シャイナーは夏場に1軍へ昇格してホームランも放つなど見せ場は作ったものの、一方のマット・レイノルズは出場試合がわずか2、無安打のまま6月に契約解除となった。

2023年に2ケタのホームランを放ち、チーム待望の和製大砲と期待がかかった末包昇大も、春季キャンプ前の自主トレで負傷して出遅れ。5月に1軍へ合流して活躍したが、再び負傷で戦線を離脱することに。同じく打撃の評価が高い坂倉将吾も開幕からオールスターゲームまで極度の不振に陥っていた。

打撃の中軸を欠いたカープは打線を固定できないまま、言ってしまえばその場しのぎの総力戦を続け、9月には慢性的に悩んでいた得点力不足がさらに悪化。これまで踏ん張っていた投手陣のガス欠と合わせて、未曾有の大転落へと至ってしまった。

こうした急場しのぎの対照として、横山氏は落合博満氏が監督を務めていたころの中日ドラゴンズについて話す。

落合氏は8年の在任期間中すべてでドラゴンズのAクラス入りを果たし、そのうち2010~2011年の連覇を含み4回のリーグ制覇、2007年には日本一になるなど輝かしい成績を残した。

横山氏によると、ドラゴンズにこうした黄金期をもたらした原点は、2004年の春季キャンプにあるという。

準備段階から本番を想定して取り組み、黄金期を呼んだ

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