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イラン「イスラエル攻撃」これから何が始まるのか 水面下で全面対立回避の努力が行われていたが

東洋経済オンライン / 2024年10月3日 16時15分

しかし、耐え忍んでいる間にイランは対イスラエル戦略の要であるヒズボラの指導者を失い、最大20万発といわれたヒズボラのロケット弾や、ミサイルの約半数がイスラエルにより無力化されたと伝えられる。

ヒズボラやハマスなど対イスラエル抵抗戦線の首領であるイランは、メンツを潰されたことから自制してきた報復を実施せざるを得なくなるとともに、ヒズボラの弱体化を招いているイスラエルの攻勢に歯止めを掛けるための抑止力の確保を狙い、大きな賭けに出た格好だ。

だが、イスラエルの決意も固い。ガザ戦争でパレスチナ人の死者が4万人を超し、ガザ地区が壊滅的な被害を受ける中、イスラエルは相手が屈服するまで大規模破壊を伴う軍事力を段階的に増大させる戦略を採用している。国際世論を重視せず、軍事力行使のハードルは大幅に下がっている。

イスラエルは先月、ロケット弾やミサイルによる攻撃を続けるヒズボラに対し、避難生活を余儀なくされている6万人を超すイスラエル国民の自宅帰還をガザ戦争の目標に加えることを閣議決定している。

「テロの首謀者」であるナスララ師を殺害するのは当然との認識で、イスラエルはイランが報復してくるのは自国の安全保障問題への直接的な介入と受け止めている。

これまではイランがヒズボラを支援して間接的な形でイスラエルと対決してきたが、イランがイスラエルに報復攻撃を行ったことにより、ゲームのルールは完全に変わった。

イスラエルは石油施設を標的にする可能性

ただ、イランとしてはこれ以上のイスラエルの横暴を許さないためにも抑止的な効果を狙ったもので、イスラエルと全面対決する構えはないとのメッセージを送っている。イランのアラグチ外相はXへの投稿で、「イスラエルがさらなる報復を決断しなければ、われわれはこれ以上の行動をしない」と牽制している。

もっとも、イスラエルの報復があるかどうかよりも、その規模や対象がどうなるかという問題になっており、アメリカのジョー・バイデン大統領も報復そのものを自制するよう求めておらず、報復は不可避だ。

報復の内容として、最も激しいものは核施設への空爆が挙げられる。イスラエルは4月の報復で、イラン中部イスファハン州の核関連施設を守るレーダーサイトを標的にしたとされ、核施設攻撃の可能性を視野に入れていることは間違いない。

核施設への攻撃はイランとの全面戦争を招きかねないことから、バイデン大統領は核施設を攻撃しないようイスラエルに呼び掛けている。イスラエル当局者は『タイムズ・オブ・イスラエル』紙に対し、報復は「大規模な財政的損失」を及ぼすものになると言明している。イランは石油輸出などが歳入の約2割に上るため、イスラエルは石油関連施設を標的にするのではないかとの見方が出ている。

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