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亀田製菓が「コメ」を再利用して名刺を作った事情 原料米の副産物からできた「おこめ名刺」を配布

東洋経済オンライン / 2024年10月4日 10時30分

消費者向けの製品を製造しているメーカーが、自社製品をかたどった名刺を社員に持たせるケースはままあるが、多くの場合、対象は営業担当者が中心になる。

亀田製菓自身も5年前、主力製品ハッピーターンのキャラクターであるターン王子をかたどった名刺を社員に持たせたことがあるが、その際はごく普通の名刺用の紙で作り、制作対象も通常名刺を持たせている社員だけだった。

今回、大幅に配布対象を広げたのは、「昨年8月に公表した新中期経営計画で掲げた、会社が目指す姿を社員に浸透させるため」だという。

同社は昨年8月、2030年度を最終年度とする新中計「亀田グループ中長期経営戦略2030」公表している。この計画で掲げたスローガンが、「ライスイノベーションカンパニー」。

製菓業から米業に転換し、コメの可能性を最大限引き出すことを目標に掲げている。海外事業と食品事業を成長エンジンと位置づけ、両事業を米製品で拡大させていくという。

赤字続きの海外事業は黒字化目前?

亀田製菓は2010年3月期から国内、海外、食品の3事業でセグメント情報を決算説明資料で開示している。食品事業は2013年に買収した非常用長期保存食首位の尾西食品が貢献し、黒字を維持しているが、海外事業は赤字が続いている。

2023年3月期に21億円、2024年3月期に23億円と、2期連続で多額の減損計上を余儀なくされた原因は、いずれも北米子会社。

「サプライチェーンの混乱で原料調達に支障を来し、原料仕入れのコントロールに失敗したことが原因であり、足元では正常化している。アジアは好調で、これまでは投資フェーズだったが、今期は(海外事業部門として)黒字化できる見通し」だという。

「令和のコメ騒動」の影響も「特にない」という。令和5年産米の生産量が少ないことは昨年の時点でわかっていたことであり、計画には織り込み済み。調達価格の高騰分は10月からの製品値上げでカバーする。

コメの会社になる、という経営の意思を体現した米型名刺。新中計に掲げた2031年3月期営業利益目標は、直近実績の約3倍の140億円とかなり高い。達成の可否は、コメでイノベーションを起こせるかどうかだろう。

伊藤 歩:金融ジャーナリスト

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