DMMビットコイン、流出を招いた「経営の重症度」 「流出482億円」の保証で終わらない深刻課題
東洋経済オンライン / 2024年10月4日 9時0分
いち早く全額保証を打ち出したこともあり大ごとに至っていないが、会員数45万人、預り資産962億円(いずれも今年3月時点)と国内中堅規模の交換所がずさんであったことの意味は重い。しかも同社は交換業の登録制が始まった2017年の登録組で新参ではない。
代表取締役の田口仁氏は同年から社長を務めていた。三菱商事から転じてライブドアやDeNAなどで事業立ち上げに携わってきた田口氏について、交換所の関係者は「暗号資産についても詳しい知識があり、DMMはしっかりやっているという認識だった」と語る。
しかし田口氏が社長を務めている間、国内ではコインチェック事件の後も大規模な流出事故が2度起きた。交換所の経営者として教訓として学ぶものは何もなかったのだろうか。
DMM各社が取締役を派遣
「DMM.comは『暗号資産に詳しいから』とDMMビットコイン経営陣に丸投げのようにし、その経営陣はビジネス偏重で守りを固めないまま、業務の効率化などを優先してきた。検査すると基本的なことを含めて『穴』がいっぱい見つかった」。そう話す金融庁関係者は半ばあきれ顔だ。
DMMビットコインの取締役は現在8人。そのうち5人は増資を引き受けてもらった6月下旬以降にDMM各社から加わったメンバーだ。
その中にはDMM.comの取締役である最高財務責任者(CFO)と最高技術責任者(CTO)がいる。田口氏と同じ代表取締役には、FXや暗号資産などの金融サービスをシステム面などから支えているDMM FinTechで取締役の松田昇樹氏が就任した。
DMMグループの広報は、「株主より新たに5名の役員を派遣することでガバナンス強化を図り、不正流出の原因究明および株主との密な連携を行っております」とする。経営責任を明確にした後、新任の5人が経営を担うかとの問いには「金融庁からのご指摘に沿った業務改善対応の中で検討してまいります」とコメントした。
DMMビットコインが業務改善命令を受けた同日。金融庁は暗号資産業界の自主規制団体である日本暗号資産取引業協会(JVCEA)を通じ、暗号資産交換業者の経営陣にとって、流出リスクへの対応は最重要課題の1つであることを認識するよう求めるとともに、流出リスクに適切な対応ができる態勢になっているかの自主点検を各交換所に要請した。
今回問題となったコールドウォレットの管理や外部ウォレット利用時の対応については「特に検証する必要がある」として注意喚起している。JVCEAの小田玄紀会長によると、点検項目は150を超える。
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