サイゼがじわじわ「メニュー数」を減らす本質理由 ファミレス衰退のなか、ファストカジュアルに移行?
東洋経済オンライン / 2024年10月6日 10時0分
サイゼが「ファミレス」からの脱皮を目指す?
「サイゼ」は「ファミリーレストラン」でなくなるかもしれないーー。
ファミリーレストラン大手の「サイゼリヤ」が発表した2024年8月期第3四半期決算によれば、国内事業は売上高が1061億8200万円で、13億4400万円の営業利益。前年同期は15億7700万円の営業損失だったので、大幅な収益改善が行われたことになる。
近年のサイゼは「国内は不調、でも海外が好調」というのが定説だった。実際、これまでの決算を見ると事業のエンジンになっていたのは中国での展開だったが、近年のイメージを覆す状況になりつつある。
そんなサイゼだが、中期的な計画として、国内2000店舗を目指すという。2023年8月期の情報によれば国内1055店舗だから、かなり意欲的な見通しである。
実は、この業績の裏側にあるのが「ファストカジュアル」業態へのシフト。
同社の説明によれば、「ファストカジュアル」とは、「ファミリーレストラン」と「ファミレス」の間に位置するもので、価格帯としてはファミレスよりも安く、ファストフードよりは手の込んだ料理を食べられる業態だ。いわば「ファミレス」からの脱皮を目指している。
では、なぜ、この「ファストカジュアル」が業績の改善につながったのか? 現在のファミレス業態を踏まえながら解説する。
「低価格路線の維持」と「メニュー数の削減」で他社との差別化を行う
サイゼリヤはここ最近、「ファストカジュアル」を掲げた店舗改革を行っており、具体的な施策としてあげられるのは「低価格路線の維持」と「メニュー数の削減」だ。
特に、全体的な物価高の中で値上げが続く他のファミリーレストランに対して、この低価格路線は大きな強みになっている。メニュー表を見れば、いまだに看板商品の「ミラノ風ドリア」が税込300円で驚いてしまう。
また、「メニュー数の削減」は店舗オペレーションの効率化につながり、その分を価格に反映できるから、結果的にこれも「低価格路線の維持」につながる戦略だといえるだろう。
ちなみに、メニュー数が絞られることによってキッチンスペースの削減、ひいては店舗面積の削減にもつながるから、これまでサイゼリヤが出店できなかった場所への出店も可能になるかもしれない。
実は同社では、2020年にも「伊麺処」(パスタドコ)という店で「ファストカジュアル」業態を掲げていた。本格パスタを身近に手軽に楽しんでもらう目的で、パスタは税込500円から提供。「安さ・手近さ」と「本格さ」を融合させたというわけだ。
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