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16億円で取引の鹿島、Jクラブ本当の市場価値は? 「安すぎる」の声に欧州ケースをモデルに算出すると…

東洋経済オンライン / 2024年10月6日 12時30分

の2つで説明されるという結論に至った。その算出方法を2023年度のJリーグクラブ経営情報のデータに適用したものが、以下の表になる。

Jリーグ最大の運営規模を誇る浦和は、モデル1だと242億4000万円、モデル2だと65億円という数字になる。それに続くのが、2017~2021年の5年間のうち4度のリーグ制覇を果たした川崎フロンターレ。モデル1だと211億6000万円、モデル2が56億5000万円となっている。

上位を占めるのは、前述の浦和、川崎を筆頭に、横浜F・マリノス、神戸、鹿島、名古屋グランパス、ガンバ大阪といった親会社のあるクラブで、特定の企業のスポンサードを受けていない市民クラブはモデル1で100億円に達していない。

前述の通り、チェルシーの2022年の売却額が6800億円だったことを踏まえると、「Jリーグクラブの国際的な企業価値はまだ低い」という印象を受ける。それでも、冒頭の通り、リーグの規模自体が拡大しているのは間違いない。それをどうクラブの企業価値に結び付けていくべきかが今後の重要なテーマになってきそうだ。

最終的な価値は買い手次第に

「この研究を通してわかったのは、Jリーグと同規模の売り上げを記録している欧州クラブと比較して、選手価値の評価額やSNSフォロワー数が極端に少ないということ。売上高はある程度の数字に達しているのに、Jリーグクラブの企業価値の推定値がかなり低くなるという課題が見えてきました。

ただ、実際の企業価値というのは、いくらで買い手がつくかどうか次第になります。今回の研究では、算出された推定値でクラブを購入する意思のあるオーナー(個人、企業、団体)の有無については確認できていないので、次の段階として需給関係を調べていくことが大切になってきます」(木村氏)

冒頭に例示した鹿島や大宮の経営権譲渡にしても、身近なところで話を進めた結果、16億円、3億円といった話がまとまったのだろう。購入意思のある新規オーナーをもっと幅広く募っていたら、それぞれの評価金額は引き上げられた可能性も少なくないはずだ。

「Jリーグの場合、親会社から経営者が出向してくるケースが多く、インカムゲインの考え方が根強い。単年度黒字になっていなければ『もっとコストを下げろ』『選手人件費を減らせ』といった話になりがちです。

しかしながら、欧州の選手人件費率が70%なのに対し、Jリーグは40%と低い。資金を投じていい選手を取り、成績を上げて、収入もクラブ企業価値も引き上げていくという考え方のクラブがもっと増えてもいいのではないでしょうか」と木村氏はクラブオーナーとしての立場から指摘する。

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