破竹の勢いを見せる「インド」は日本を超えるのか 市場価値は高まる一方、埋まらない貧富の格差
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 17時0分
いよいよインドが経済規模で日本を抜く日が迫っている。若い人口、ITを支える優秀な頭脳、英語が使える国際サービス、資金を戦略的に使える財閥の存在などインド経済の強さを示す要因は多い。いったいインドの経済はどのように発展してきたのか。
インドの「底知れない」実力を探ってみた著書『底知れないインド 「最強国家」の実力』より一部抜粋・編集したものを3回に渡ってお届けする。初回はインド経済の10年の動きをまとめてみた。
インド経済の発展
モディが最初に首相になった2014年からの10年の間に、インドの株式市場の価値は3倍に跳ね上がった。
十分な富と投資の意欲を持つインド人の数も急増し、インドはイギリスを抜いて世界第5位の経済大国となった。ほどなく日本とドイツを超えて世界第3位になると予想されている。
インドに集まる多国籍企業の数はこれからも増え続け、インド人が新規事業を始める機会もそれに伴ってもっと増えていくだろう。生活水準が向上し消費市場を拡大する。都市が形成され、地方の発展を生み出す。世界最大の人口を擁する国の潜在力に火がついたことが、外国からの投資家がインドの消費者市場に惹かれる理由だ。
貧しい農村地域では、モディ政権の福祉プログラムの恩恵で飢え死にすることがなくなった。無料の穀物が配られ、トイレは整備され、ガスシリンダーも無料か低価格で提供された。
恩恵の多くは確実で目に見える形で提供され、人々の暮らしを変えていった。生活スタイルは変化し、LEDの照明、安価なスマートフォン、無料に近いと思える安価なモバイルデータ、そういった時代の先端をいくツールたちが、旧来の貧しく汚いイメージのインド人の暮らしを変えてきた。
商取引においてはデジタル化が進んだ。
これは国民会議派のマンモハン・シン前政権時代に始まったものを、モディ政権が引き継いだものだ。生体認証識別システムであるアダールはデジタル化による効率化の成功例となっている。
税金の見直しも行われた。日本の消費税にあたる間接税の州間格差を解消し、公的支出に資金が開放され、法人税率の引き下げにより民間資金の調達が可能になった。
2016年11月8日には、モディ首相が突然、すべての高額紙幣を無価値にすると宣言した。犯罪者から「ブラックマネー」を奪うことが目的とされ、当初はあまりにも荒唐無稽な政策で経済活動に深刻な支障をきたした。
しかし、これによってインドのキャッシュレス化が一気に進んだ。タンス預金への信頼がなくなり、クレジットカードの利用、銀行口座の開設が進み、そして日本のPayPay のもとになったインド発のQRコード決済のシステムが青果店から雑貨店まで田舎の市場の隅々にまで広がった。
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