米大統領選挙をも動かす「ビットコインマネー」 トランプ氏が"仮想通貨大国"にすると宣言
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 8時0分
世界の視線が集まるアメリカ大統領選挙の投開票まで1カ月を切った。『週刊東洋経済』10月12日号の第1特集は「米国動乱」だ。大統領選から景気後退、AIブームまで。動乱期を迎えたアメリカの今を、現地取材を交えてリポートする。
11月5日に行われる米国の大統領選挙には、暗号資産(仮想通貨)業界からも大きな注目が集まっている。
【図表でポイント解説】トランプ再選が暗号資産業界にもたらすメリット
これまでの米大統領選では、仮想通貨が選挙戦の主な争点となることはなかった。
しかし、再選を目指すトランプ前大統領が仮想通貨の支持を公に表明したことで、業界からの注目度が一気に高まった。トランプは1期目の任期中、「暗号資産は詐欺のようだ」と発言し、反仮想通貨派として知られていた。にもかかわらず、今では支援者の前で「クリプト大統領になる」とまで発言し、盛大な手のひら返しを披露している。
スタンスの変化が浮き彫りに
トランプは仮想通貨技術とまったく無縁だったわけではない。2020年の大統領選で敗北した2年後の22年12月に自身をモチーフとした非代替性トークン(NFT)のトレーディングカードコレクション第1弾を発行、今年の8月には第4弾を発行した。
スタンスの変化が浮き彫りとなったのは、今年5月にマー・ア・ラゴで開催された、後援者やNFTの購入者が参加したイベントからだ。このイベントでトランプは、「仮想通貨が好きなら自分に投票するべきだ」、「彼ら(民主党)は仮想通貨やNFTに反対している」と発言し、自身が親仮想通貨派であることをアピールした。
7月末にテネシー州ナッシュビルで行われた世界最大級のビットコイン関連イベント「Bitcoin 2024」に登壇した際には、米国政府が所有するビットコインを保持し続け、国の戦略的準備資産にすることを約束し、米国を世界の仮想通貨大国にするとまで宣言した。その場では、再選されれば米証券取引委員会(SEC)の委員長を解任し、仮想通貨に好意的な人物を選ぶとも述べている。
「心変わり」に2つの大きな狙い
トランプの心変わりには2つの大きな狙いがあると推測される。
1つ目の狙いは、純粋な選挙戦略だ。米連邦準備制度理事会(FRB)が今年5月に発表した23年度の年次家計調査によると、米国の成人で仮想通貨を所有または使用していることを報告した人数は約1800万人。米国の有権者人口は約1.6億人といわれており、有権者の10%強は仮想通貨に関心があるといえる。
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