生成AI導入を「コンサルに丸投げ」する会社の盲点 「なんでもできる」チャットボットの幻想とは
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 15時0分
たとえば、経費精算業務では、申請書の記入方法や承認のルールは会社ごとに異なります。この「やり方」を生成AIに学習させることで、適切な判断を下すことができるようになります。また、顧客対応業務では、よくある質問や回答の例を生成AIに提供することが有効です。
ただし、その際も、自社の業務に特化した内容である必要があります。汎用的な「やり方」や知識を生成AIに提供しても、実際の業務で役立つことは少ないでしょう。生成AIに求めるのは、あくまでも自社の業務に特化した知識と判断基準なのです。
最初に要件を固めすぎてはいけない
2つ目は、「最初に過度な要件定義や計画立案してしまう」ことです。
従来のソフトウェア開発プロジェクトにおいては、当初の要件定義や計画立案がプロジェクトの成否を決めるといった考え方が主流でした。システムの機能や非機能要件を細部にわたり定義し、それに基づいて開発スケジュールや必要な工数を綿密に計算して、完璧に見える計画を立てるという、いわゆるウォーターフォール型のプロジェクト進行が一般的でした。
しかし、生成AIの世界は常に進歩しているため、最初に形や中身を決めすぎてしまうと、変化に対応できなくなってしまいます。新たに開発されたAIモデルが登場することで、プロジェクト開始時に想定していたモデルよりも優れた性能を持つものが出現し、当初の要件が適さなくなることがしばしばあります。
また、生成AIの場合、個別のユースケースに対して、簡単なプロトタイプを作り、クイックに試せるという大きな利点があり、固定的な要件定義をしすぎないほうが、その利点を活かすことができるのです。
では、生成AI導入プロジェクトにおいて、要件定義や計画立案は具体的にどのように実行すればよいのでしょうか。
要件定義においては、大まかな方向性を示す程度にとどめ、詳細な仕様はプロジェクトの進行に合わせて柔軟に固めていくアジャイル型のアプローチがよいでしょう。たとえば、「顧客サービス部門の文書自動生成機能を強化する」という大枠の目標を設定し、具体的な機能やパフォーマンスの指標はプロジェクトが進むにつれて定義していけば、新たに登場する生成AIモデルやツール、そして技術を取り入れやすくなります。
また、計画立案においては、短期的なサイクルを設定して定期的に見直しを行っていきます。1~2週間といった短い期間で具体的な目標を設定し、その達成状況を評価しながら次のステップの計画を立てます。こうすることで、変化する市場環境や技術の進歩に迅速に対応し、プロジェクトの方向性を柔軟に調整することが可能になります。
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