川崎重工、「相次ぐ不正」で業界3位に凋落の危機 防衛の裏金問題と舶用エンジン不正に社長陳謝
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 9時0分
9月27日の記者会見で、頭を下げる橋本康彦社長(写真右)。「度重なるコンプライアンス違反について皆様にご心配、ご迷惑をおかけいたしておりますことを大変申し訳なく、心からお詫び申し上げます」と陳謝した(撮影:尾形文繁)
「正直、裏金がこの時代にまだ存在し、それが弊社で行われていたことは大変ショックだった。トップとして大変反省すべきだと考えている」
相次ぐ不祥事が明らかになった重工大手の川崎重工業が9月27日、記者会見を開いた。冒頭のセリフは、7月に発覚した防衛事業の裏金問題に対する橋本康彦社長の“認識”だ。
川崎重工では取引先との架空取引によって十数億円規模の「裏金」を捻出し、海上自衛隊の潜水艦搭乗員に金品や飲食代を供与していた。この問題は税務調査をきっかけに発覚しており、内部通報など自浄作用が働かなかった(「川崎重工『裏金』で海自隊員へ金品供与の悪習」)。
8月には舶用エンジンの燃費性能のデータ改ざん問題も判明している。NOx(窒素酸化物)規制対象のエンジン674台のうち実に673台において燃費率データの改ざんがあった。「調査中で正確に把握できていない」(西村元彦専務)と明言を避けるが、今回の調査対象期間である2000年以前からデータの改ざんが行われていた可能性もある。
「連日のようにニュースで取り上げられ、取引先への釈明に追われた。社内はかなり動揺している」。同社の中堅社員はそう肩を落とす。
過去の一斉調査でも把握できず
川崎重工にとって不正や不祥事は今回が初めてではない。
2017年にはN700系新幹線(のぞみ)の製造不備により、台車枠に亀裂が生じ走行中ののぞみが緊急停止する重要インシデントが起きている。「製造不備」と称しているが、製造現場で顧客の基準を逸脱した行為が行われていた。
2022年には完全子会社の川重冷熱工業で、空調システム向け冷凍機の製品検査工程で38年にわたり不正が行われていたことが発覚。この時、社長直下の全社コンプライアンス委員会がグループ全体で品質不正事案がないか一斉調査を実施している。
この8月に明らかになった舶用エンジンの不正について、当時から担当者が不正を認識していたにもかかわらず、一斉調査で把握できなかった。同委員会で委員長を務めていたのは橋本社長だった。
今回公表した「舶用エンジンにおける検査不正についての調査報告書(中間報告)」では、「コンプライアンス違反の認識があっても言いだせない組織風土や、カンパニー(事業部)の機能不全、品質よりも納期や利益を優先してしまう意識」など、主に現場に問題があったことが不正の原因と分析している。
この記事に関連するニュース
-
東京証券取引所・プライム市場の株価騰落率「トップ3」と「ワースト3」…値上がり率2位の銘柄は“身の潔白”を証明して急騰【昨日の株価】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月2日 5時15分
-
川重社長、燃費データ不正を陳謝 利益優先、組織風土が背景
共同通信 / 2024年9月27日 20時14分
-
川崎重工が裏金問題で新組織、統治強化へ
共同通信 / 2024年9月27日 18時10分
-
川崎重工社長、船舶エンジン不正を陳謝
共同通信 / 2024年9月27日 16時51分
-
三菱重など防衛関連株がしっかり、自衛隊機初のフレア発射が刺激材料
ロイター / 2024年9月24日 9時42分
ランキング
-
1川崎重工、「相次ぐ不正」で業界3位に凋落の危機 防衛の裏金問題と舶用エンジン不正に社長陳謝
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 9時0分
-
2消費者とオンラインで開発の日本酒 ラベルも一般公募 酔鯨酒造
食品新聞 / 2024年10月7日 13時25分
-
3恐ろしい…軽快なBGMのもと繰り返される「家電量販店の最安値宣言」に込められた、本当の意味【経済評論家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月6日 9時15分
-
4〈年金月6万円〉妻を亡くした、ひとり暮らしの72歳破天荒な父…訪ねた息子も言葉を失う「あまりに奇妙な生活実態」【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月7日 10時45分
-
5その接待、1万円が「経費で落ちるか否か」の分岐点 「2024年度税制改正」を踏まえた経理上の留意点
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 12時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください