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日本の社長「任期短い」「独裁防止でいい」正解は? 会社の「長期の成長」には、いったい何が必要?

東洋経済オンライン / 2024年10月8日 9時0分

よく考えてほしいのだが、自身の任期が最長4年と決まっているトップが、「長期の未来への腹落ち」をさせることが可能だろうか?(写真:塩大福/PIXTA)

「宗教」と「優れた企業経営」には実は共通点があり、「現代の強い企業」は、いい意味で「宗教化」していく。

それらの主題をもとに、世界の宗教事情に精通したジャーナリストの池上彰氏と、『両利きの経営』の解説者で早稲田大学教授の入山章栄氏が語り合った『宗教を学べば経営がわかる』が発売された。

同書を再編集しながら、「宗教」と「優れた企業経営」を理解するうえで最重要理論のひとつ「センスメイキング理論」に触れつつ、「日本の社長は任期が短すぎることの問題点」と「独裁になるのでは?という懸念についての解決策」を入山氏が解説する。

「トップの任期の短さ」が足かせに

前回の記事(「いい意味の"宗教化"」が日本企業に足りなすぎだ)で述べたとおり、日本企業の多くは、いい意味での「宗教化」が足りない。

【書籍】ジャーナリストの池上彰氏と経営学者の入山章栄氏が「経営と宗教の共通点」について解き明かした話題の新刊書

センスメイキング(宗教化)が浸透しないため、企業は「遠い未来へ」の腹落ちができず、結果、リスクがとれず、イノベーションが創出されないという状況に陥っている。

では、日本企業が「いい意味で宗教化」するうえで、カギは何か?

私からひとつ重要な論点を挙げたい。

これは特に大手・中堅の伝統的な企業(特に上場企業)に向けてのものだが、これらの企業の最大の課題は、経営トップの在任期間が任期制になっており、しかも短いことだ。

たとえば大手上場企業の中には、社長の任期が2年2期あるいは3年2期などと決まっているところが多い。

しかし、よく考えてほしいのだが、自身の任期が最長4年と決まっているトップが、「長期の未来への腹落ち」をさせることが可能だろうか?

どう見ても、自分の任期内のことしか考えられないので、「センスメイキング」は不可能なのだ。教祖の在位が4年で終わると決まっている教団では、信者は腹落ちできないのである。

実際、私の周りでイノベーションを引き起こしている日本企業は、トップの任期が長い。

だからトップが「遠い未来の視点」を持つことができ、社内外に自分の描く遠い未来を浸透させ、「腹落ち」させ、結果として社員が「知の探索」を行い、やがてイノベーションを生んでいくのだ。

経営者から社員まで全員「腹落ち」している会社は強い

たとえば大阪に本社を置くロート製薬は、イノベーションを起こしながら今もどんどん成長している。

もともとは目薬など医薬品中心の企業だったが、少し前からはスキンケア分野に参入して、「機能性スキンケア製品」というイノベーションを起こしている。

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