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セブン&アイ「ヨーカ堂一部売却」に透ける焦り ヨーカ堂幹部も「そんな話はなかった」と動揺

東洋経済オンライン / 2024年10月8日 8時0分

ヨーカ堂の株式売却を検討しているが、コンビニ事業のテコ入れこそ急務だ(撮影:今井康一)

構造改革の最終章が始まったか――。

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セブン&アイ・ホールディングスはグループの祖業であるイトーヨーカ堂など、傘下企業の一部株式の売却に向けた調整に入っている。10月10日の決算会見で正式に公表される見通しだ。

売却先としては投資ファンドが取り沙汰されているほか、買い手が見つかるかは不透明だが、セブン&アイ経営幹部の中には同業他社を推す声もある。

構造改革の本気度を示すためか

ヨーカ堂のある幹部は「直近の取締役会でもそんな話はいっさいなかった。外資ファンドに買われてしまっては、さらなる閉店を求められるかもしれない」と動揺を隠さない。

ヨーカ堂などスーパー事業を巡っては、セブン&アイが今年4月、2027年度以降の新規株式公開(IPO)を目指し、将来的には連結からの分離もありうると説明していた。IPOに先立ち、一部株式を譲渡する方針を固めたのはなぜか。

セブン&アイは現在、カナダの同業大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けており、9月初旬に「受け入れられない」と返答。その主な理由として「株主価値を著しく過小評価している」としていた。

ただ、上層部の中からは、ガソリンを軸とする北米型コンビニとファストフードを主力とする日本型コンビニとは、ビジネスモデルも客層も大きく異なり、傘下入りするメリットがないとの声もある。金額の多寡ではなく、買収されること自体に反発する幹部も多いようだ。

ヨーカ堂株の早期売却を検討しているのは、セブン&アイHDの設立以降、非効率と指摘され続けてきたヨーカ堂事業の株式を一部でも前倒しで売却することで、構造改革の本気度を市場に示し、株価を上げる狙いがあるとみられる。

短期的にも株価を上げられれば、その分、クシュタールにとって買収のハードルが上がることになる。実際、株価は一連の報道を受けて上昇した。すでにクシュタールによる買収報道で高値圏にあった株価は、10月7日に一時2281円をつけるなど、上場来最高値を更新している。

また、ヨーカ堂がIPOする「条件」とした2025年度の財務目標(首都圏スーパーストア事業のEBITDAを2026年2月期に2023年2月期比3倍の550億円)についても、「計画達成は困難」(証券アナリスト)と指摘する市場関係者は多い。株式の一部売却を通じた外部パートナーの参画によって、収益改善やIPOに向けた戦略に説得力を持たせる思惑も透けて見える。

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