働く女性に勧めたい「控えめな贅沢」を味わう服 オンオフ使える「90年代ミニマリズム」の名品
東洋経済オンライン / 2024年10月9日 9時0分
1990年代の日本は世界の服飾史に記録されるべき〝ファッションの黄金期〟だった。109のギャルカルチャー、裏原宿のストリートカルチャー、シンプルで装飾を抑えたミニマリズム……など、さまざまな服飾文化が同時多発的に誕生した。
【写真を見る】「ザ・ロウ」の2024年フォールコレクション。少し大きめのサイズ感のコートと細身のパンツとのバランスがすばらしい
その中でも、90年代のミニマリズムが進化したクワイエット・ラグジュアリー(控えめな贅沢)というトレンドが近年注目を集めている。実は働く女性が取り入れやすいこの流行を、ファッションジャーナリストの増田海治郎が解説する。
「上質でミニマルな服」が人気に
2017年頃から、ストリートカルチャー(アメリカのヒップホップやスケートボード文化から生まれたもの)がメンズのランウェイに登場し、コロナ直前は男女ともにストリート一色となった。
そしてコロナ明けは、長い抑圧から解放された気分を後押しするかのような華やかな服が流行した。この6〜7年のトレンドは、ブランドロゴや派手な色柄を前面的に押し出したラグジュアリーが世界を支配していたと言っていいだろう。
そんな富をわかりやすく表現するラグジュアリーに対するカウンターカルチャーとして、浮上したのがクワイエット・ラグジュアリーというトレンドだ。それは、上質な素材と仕立ての服をミニマルに着こなすスタイルで、ぱっと見は控えめに見える。
色はグレー、黒、ネイビー、ベージュの無地が軸で、少しのモード感がにじみ出るような雰囲気。この言葉では説明しづらい〝少しのモード感〟が最大のポイントだ。
【写真】ミニマリズムを体現する「ザ・ロウ」「オーラリー」「ハイク」の2024年秋冬コレクションを紹介
代表的なブランドは、アメリカのメアリー=ケイト・オルセンとアシュリー・オルセン(子役時代から活躍した元俳優)が2006年に立ち上げた「THE ROW(ザ・ロウ)」。上質でミニマルかつ存在感のある服は、日本でも過剰な装飾がない服を好む富裕層の間で人気が高まってきている。
とくにバッグ類はかなり人気で、定番の「マルゴー」はファッション好きなら誰もが恋焦がれる存在。洋服、バッグともにプロダクトの完成度が高く、着るだけで洗練された雰囲気になる服のパターン(設計)の妙は業界内でも高い評価を受けている。
その他の海外のトップメゾンでは、「フィービー・ファイロ」「ジル・サンダー」「ボッテガ・ヴェネタ」「グッチ」などがクワイエット・ラグジュアリーの文脈に当てはまる。ただ、こうしたトップメゾンの価格は体感的にこの5年で倍近く値上がりしており、今や無理なく手が届くのは富裕層のみ。
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