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医療人類学者が警告「アレルギー」途方もない負担 「軽視してはいけない」アレルギーへの対処法

東洋経済オンライン / 2024年10月9日 7時50分

アレルギーを発症している人の生活の質(QOL)は、そうでない人に比べて一般的に低い(写真:mapo/PIXTA)

父親を蜂毒に対するアレルギーで亡くし、自らもアレルギーを抱える医療人類学者、テリーサ・マクフェイル氏。彼女は原因不明の体調不良を繰り返した末、40代で専門医による診断を受け、やがて自らアレルギー問題についての調査に乗り出すこととなった。

【写真を見る】知られざるアレルギーの全貌を解説した新刊書『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』

その後、同じく医療人類学者兼作家である友人からの後押しで、マクフェイル氏はアレルギーの歴史、実態、未来を見通す本を作ることを決める。彼女は5年以上にわたる調査と執筆を経て、力作『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』を世に送り出した。

高まる負担と拡大する市場規模

著書『アレルギー』の冒頭で、マクフェイル氏は次の事実を読者に突きつける。

「たとえ命を脅かすものでなくても、アレルギーは重荷になりうる。軽度、中程度、重度(ただし、死に至るほどではない)のアレルギー性免疫反応を抱える人々は、自分の健康状態のために途方もない時間、金銭、意識を使う」

その「途方もない」コストをここに数値として並べてみよう。これらはいずれも『アレルギー』で紹介されている全世界での推定値だ。

* 全世界でのアレルギー診断・検査・治療を合わせた販売額は、2026年までに520億米ドルに達すると見込まれている。

* 2020年、抗アレルギー薬の世界市場は年間248億米ドルと推定された。

* 2027年までに、抗アレルギー薬の世界市場規模は350億米ドルから390億米ドルに増加すると予測されている。年間6.8%前後の成長率だ。

* アレルゲンフリー食品の市場は2030年までに年間1兆80億米ドルに達すると見込まれている。

もちろん、こうした動きには日本も深く組み込まれている。

花粉症などでなじみ深いアレルギー性鼻炎を例にとれば、2019年度時点で国内では年間で保険診療の診察等に約1900億円、保険適用の内服薬に約1700億円、2022年時点で市販薬に約400億円が費やされている(2023年5月30日、花粉症に関する関係閣僚会議)。

一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「花粉症重症化ゼロ作戦」プロジェクトによれば、スギ花粉症患者の約70%は重症あるいは最重症と考えられ、花粉症によって生じた能率低下の費用損失は、心臓疾患、喘息、糖尿病などの病気よりも高額であるという。

身近であるがゆえに軽視されがちなアレルギー

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