ゲームとAIの長い歴史に加わる「感情認識AI」 介護やマーケティングへの応用も視野に
東洋経済オンライン / 2024年10月9日 11時30分
ゲームとAIは親和性が高く、その付き合いの歴史は長い。1990年発売の古典的RPG『ドラゴンクエストIV』のオートバトルは、仲間キャラクターをAIが自動制御し、戦闘経験を積むことでモンスターの特性を学習する機能だった。一方、1986年のシューティングゲーム『ザナック』の「ALC(AUTO LEVEL CONTROL)」は、プレイヤーの行動に応じてゲームの難易度をリアルタイムで調整する。幅広い層のプレイヤーが楽しめて、パターン暗記よりもアドリブでの対応力が試されるユニークなゲーム体験となっていた。
【写真で見る】特殊なセンサーを備えた専用バンド(開発者向けキット)
現代の機械学習ベースのAIは、ゲームプレイをより洗練した体験にしている。『ラスト・オブ・アス パートII』では、高度なAIシステムにより、ゲームプレイがより没入感の高いものになっている。
例えば、敵AIに「曖昧な認識」状態が導入され、仲間が殺されるのを目撃した敵は、プレイヤーの正確な位置はわからなくても、おおよその場所を把握して警戒する。プレイヤーは常に緊張感を持ちながら、刻々と変化する状況に応じて戦略を立て直す必要があり、これがゲームの大きな魅力となっている。
AIが感情を分析するゲーム
このようなゲーム業界におけるAI技術の進化の中で、新たな可能性を提示しているのが、OVOMIND社の感情認識技術だ。東京ゲームショウ2024の会場では共同創業者兼CTOのJulien Masse氏がデモを行っていた。
OVOMINDは、プレイヤーの感情をリアルタイムで検出し、それをゲームプレイに直接かつ動的に反映させるクラウドベースAI技術だ。特徴は、プレイヤーの感情状態に応じてゲーム内の要素をリアルタイムで調整することにある。OVOMINDが活用例として制作したホラーゲーム「Dead Shadows」では、プレイヤーの恐怖度合いに応じて視界を狭めるなどの演出を行い、より没入感のある体験を実現している。
技術的な観点では、特殊なスマートバンドを用いてプレイヤーの生体信号を検出している。このバンドは、従来のスマートウォッチには搭載されていない皮膚電気反応(GSR)センサーを含む複数のセンサーを備えており、プレイヤーの感情状態を高精度で分析できる。
検出されたデータはクラウドサーバーに送信され、OVOMINDの独自AIによって処理・分析され、結果がリアルタイムでゲームに反映される。
実際に体験してみた
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