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「持論を現実に」信仰という石破首相が持つ力 著名な宗教家だった曾祖父から受け継いだDNA

東洋経済オンライン / 2024年10月9日 7時40分

キリスト教カルヴァン派のクリスチャンである石破茂首相。信仰が彼の政治手腕にどう作用するか(写真・JMPA)

「夢はあきらめちゃいけない。政治が感動を起こさなければいけない。有利だからやる、不利だったらやらない。それは私の生き様ではありません」

過去最多の5度目の自民党総裁選への挑戦でついに勝利し、首相の座に上り詰めた石破茂氏。負け戦となった4年前の総裁選直前に関西のテレビ番組でこう述べていた。

石破氏には愚直で誠実といったイメージがある。ドン・キホーテのような向こう見ずさを持ち合わせる。安倍一強という権力と敵対し、長らく閑職に干されても今回再び立ち上がった。不屈の精神の持ち主だ。

ここまで石破茂氏を突き動かしてきたものはいったい何か。

「密かに石破茂研究を行ってきた」という作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は、政治家・石破茂の一番のポイントは宗教にあると指摘する。

「(石破氏は)プロテスタントのキリスト教徒で信心は極めて熱心な人です」。佐藤氏は2024年10月2日に都内で開かれた鈴木宗男参議院議員の政治資金パーティーでの講演の中でこう述べた。

4代目のクリスチャン

石破氏は長年、自身がキリスト教プロテスタント信者であることを公言してはばからない。

石破氏は4代目のクリスチャンだ。小さい頃から母親の和子さんに連れられてプロテスタント系の日本基督教団鳥取教会に通い、そこで18歳の時に洗礼を受けた。

キリスト教ニュースのクリスチャンプレスによると、鳥取から上京し、慶応義塾高校、慶応義塾大学に進学後は日本キリスト教会世田谷伝道所(現世田谷千歳教会)に出席し、教会学校の教師も務めた。

一方、鳥取県知事や自治大臣を務めた父親の二朗さんの家系は代々浄土宗で、石破氏は浄土宗の檀信徒の国会議員でつくる親睦団体「浄光会」の会員でもある。くしくも石破氏の政敵であった故・安倍晋三元首相が同会の世話人を務めていた。

石破氏の母方の曽祖父は、同志社英学校(後の同志社大学)の創立者である新島襄から洗礼を受けた金森通倫(みちとも)だ。金森は新島の自他ともに認める愛弟子だ。

石破氏はこの宗教家の曽祖父のDNAを色濃く受け継いでいるとみられる。それは隔世遺伝と思われるほどだ。若干長くなるが、ぜひ紹介したい。

金森は1857年、熊本県小天(おあま)村(現・同県玉名市)に生まれた。西に有明海を望み、夏目漱石の小説『草枕』の舞台にもなった村で、蜜柑の名産地として知られる。

宗教家の曾祖父の強いDNAを継承

『回顧録―金森通倫自伝』(アイディア出版部、2006年)によると、金森は旧肥後藩の郷士で総庄屋の出だ。15歳になった1872(明治5)年に熊本洋学校に入校し、元アメリカ陸軍人で教師のジェーンズの下でアメリカ式教育指導を受けた。

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