「隣はヒズボラ」パレスチナ難民キャンプのヤバさ 9月にレバノン・ベイルート襲った空爆のその後
東洋経済オンライン / 2024年10月9日 9時0分
同キャンプに暮らす旧知の友人が、27日の空爆の様子と、現在同国でパレスチナ難民が置かれている状況について語ってくれた。
「いつ家に帰れるかわからない」
ブルジ・バラジネ難民キャンプで生まれ育ったクルドさん(50)は、今回の空爆で家を追われることになった。人生で3度目だという。
1975年に始まった内戦中に2度の避難を強いられた。いずれも数カ月から数年の避難生活を経て無事に自宅への帰還が実現したが、以来、激動の数十年間を乗り越えてきた。
自身もパレスチナ難民である彼女は、長年さまざまなNGOでの活動を通じて同キャンプの状況改善に取り組んできた経験があり、国外にも多くの友人を持っている。
ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師を死に至らしめた27日の空爆に関して聞くと、「住んでいる建物が崩壊するかと思うほど、大きな揺れだった」と述べた。筆者も何度もお邪魔したことがある彼女の自宅は、爆心地から2kmと離れていない(注:その数日後には、自宅からわずか数100m先、キャンプの境界線上にも度重なる空爆が行われた)。
爆発によって小規模火災が生じ、粉塵が立ち込めた。夜が明けてもキャンプは一面煙で覆われており、爆発物のにおいが立ち込めていたという。
使用された兵器の金属片が広範囲に飛散したため、不発弾のみならず、鋭利な金属片によるケガや、タイヤのパンクなどの2次災害も生じているという。
「確実に死傷者を増やす」意図感じる
爆心地周辺の住民らによると、イスラエルは榴散弾(りゅうさんだん)を使用している可能性が高いという。
榴散弾とは、砲弾内部に詰め込まれた金属片を炸裂させることで、広範囲の人や生物を殺傷する兵器である。人口密集地帯で使用されていることから、確実に死傷者を増やすという攻撃者の意図が感じられる。
イスラエル軍はガザで同様の兵器を使用したと報じられており、被弾した多くの子どもたちの体内に炸裂した金属片がとどまり、長期的な被害をもたらしていると報告されている。
幸い、今回の空爆ではブルジ・バラジネ難民キャンプ内には重大な物理的被害は生じなかった。しかし、27日中に同キャンプ一帯には避難勧告が発出され、クルドさんによると、現時点で90%を超えるキャンプの住民は避難を決意し、国内外に退避しているという。
避難といっても、現時点でレバノン政府や国連機関から支援はない。彼女は避難の状況について「各人が国内の親戚や友人宅に身を寄せている状況」と話した。避難生活が長期化すれば、もともと厳しい状況にあるパレスチナ難民世帯の家計は、一層圧迫されることになる。
この記事に関連するニュース
-
「パレスチナ問題」は、再び忘れ去られてしまうのか?... 2025年は中東和平の分水嶺になる
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月23日 17時50分
-
シリア・アサド政権「あっけない」崩壊の裏事情 弱まるイランの影響力、イスラエル一強の時代も
東洋経済オンライン / 2024年12月11日 14時0分
-
アレッポ陥落で露呈したアサド政権の脆弱さ...ロシアとイランに代わってカギを握るのは「あの国」
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月10日 14時40分
-
シリア反政府勢力、ホムスへ進軍 イランとヒズボラはアサド政権支援
ロイター / 2024年12月6日 22時34分
-
ヒズボラ武器ルート空爆 イスラエル、ガザも攻撃
共同通信 / 2024年12月6日 19時29分
ランキング
-
1「用水路で人が倒れている」公園にほぼ全裸の女性の遺体 鹿児島・鹿屋市
MBC南日本放送 / 2025年1月5日 9時46分
-
22025年、日本がもっと「後進国になる」根本理由 10年間、時計の針が止まった日本の末路
東洋経済オンライン / 2025年1月5日 10時0分
-
370代夫婦が無理心中か 札幌市南区の住宅に身元不明の男女の遺体 「おじとおばと連絡がつかない」姪が通報
STVニュース北海道 / 2025年1月5日 10時41分
-
485歳男性が3輪ミニカーにはねられ死亡 ミニカーの男性「横断に気がつかなかった」【福岡・筑紫野市】
FBS福岡放送ニュース / 2025年1月5日 9時8分
-
5《六代目山口組のハイブランド餅つき》「司だ、司!」警察が色めき立った瞬間 愛用率50%!直参組長らから支持される「冬のハイブランド」
NEWSポストセブン / 2025年1月5日 11時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください