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「石破は安倍の後継者」トランプ元側近が語る本音 ジョン・ボルトン元大統領補佐官に聞く【前編】

東洋経済オンライン / 2024年10月11日 8時0分

――日本製鉄のUSスチール買収計画についてお伺いします。全米鉄鋼労働組合(USW)が買収に反対しており、トランプ前大統領は買収阻止を明言しています。ハリス氏もバイデン大統領にならい、激戦州のブルーカラー層を意識し、買収に後ろ向きの姿勢を見せています。アメリカにとって日本はアジアで最も重要な同盟国です。買収が問題を引き起こすとは考えにくいのですが、すべては「政治」のなせる業なのでしょうか。

もちろん、政治的な思惑によるものだ。主に中国のせいで、世界では鉄鋼の生産過剰が続いており、USスチールの財務状況は芳しくない。買収により、USスチールの経営は強固になる。だからこそ、このような形で政治が介入してくるのは残念だ。

とはいえ、USスチールの労働者が日鉄本社に対し、「アメリカの雇用を減らすつもりはないと確約してほしい」と主張するのは当然だ。日鉄は、より効率的な鉄鋼製造の技術を有しているのだから、アメリカの労働者を雇い続ければ、すべてがうまくいく。

アメリカの多くの産業が、中国などとの競争で困難な状況に陥っている。USスチールの苦境も、(アメリカの製造業が)長年放置されてきた結果だ。

しかし実際のところ、興味深いことに多くの鉄鋼労働者は買収に賛成している。仕事を失わずにすむと考えているのだ。つまり、買収が難航しているのは、この問題が感情論で語られるからだ。私が買収の可否を決められる立場にあったら、「条件付き」で買収を許可する。

――日鉄によるUSスチール買収は、アメリカの鉄鋼産業にとってもプラスということですよね?

これは、アメリカ鉄鋼産業をより現代的なものにするかどうかという問題だ。最終的には、さらなる改良が進むだろう。

アメリカの鉄鋼メーカーは長年多くの制約を課されてきたとはいえ、なぜ成長できないのか解せないが、日鉄によるUSスチール買収は経済効率がいいように見える。少なくとも何らかの方法で、アメリカ人の雇用も守られそうだ。そうした総体的なメリットを考えれば、私だったら買収にゴーサインを出す。

ハリス氏はUSスチール買収を認める?

――次期大統領は買収を認めるべきだと思いますか。

そうだね。十分な条件が整っていればの話だが。買収審査の遅れを見ても、最終的な決着が大統領選以降か、大統領就任式(新年1月20日)の後になるのは間違いない。

――ハリス氏が大統領になった場合、買収を認めると思いますか。

その可能性はある。

――ハリス氏は9月25日、MSNBCに出演し、日鉄の買収について問われ、次のように答えています。「最も重要なのは、アメリカの労働者によるアメリカの鉄鋼製造能力を維持することだ」と。この言葉の真意は?

労組向けのアピールだ。買収にどのような態度で臨むかを示しているのだろう。ひるがえって私は、今よりはるかに効率的な方法でアメリカの鉄鋼が製造され、コスト削減により、アメリカの鉄鋼製品の国際競争力が高まるよう願っている。それがアメリカに必要なことだ。

日鉄にはそれを実現させるだけの資本があるが、USスチールにはない。

※後編では大統領選挙の見通しや「ポスト・トランプ」の共和党について聞く

肥田 美佐子:ニューヨーク在住ジャーナリスト

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