遅すぎた「じゃらん休刊」で露呈した"残酷な真実" "一強"だった同誌がそれでも休刊となったワケ
東洋経済オンライン / 2024年10月11日 16時15分
リクルートは『じゃらん』休刊の理由について、「昨今のユーザー動向を含む社会の変化を受け止め」「読者のライフスタイルに寄り添ったサービスのさらなる強化をしてまいります」などとコメントしていました。
『じゃらん』はエリアごとに発行されてきましたが、主力の『関東じゃらん』が2011年に『東北じゃらん』と統合されて『関東・東北じゃらん』になり、前年の2010年にも関西版と中国・四国版が統合。さらに2021年5月には月刊をあきらめて隔月刊にするなどの苦しい状況が続いていました。
営業マンがコンサルとしても機能
この間、人々は旅行の情報収集や予約をネットで行うようになり、旅行情報誌を読まなくなっていきました。また、それによって宿泊施設も旅行情報誌への広告出稿を重視しなくなりました。
以前より販売部数が減り、広告収入も得られなければ雑誌が休刊するのは当然でしょう。実際に発行部数や広告出稿がまだ多い『北海道じゃらん』だけは来春以降も継続することがそれを裏付けています。
旅行の情報収集や予約に限らず、より便利で効果の得られるほうに変わっていくのは時代の流れでしょう。特に紙の本を買う人が減る中、『じゃらん』のような「予約するために買って、読んだら捨てる」という消費行動が、「ムダ」「エコではない」などとみなされるようになったことは痛手でした。
ただそれでも、『じゃらん』営業担当者と広告主となる宿泊施設の結び付きは、「時代が変わったから」と単純に割り切れないほど強固なものがありました。
『じゃらん』としては、「本が売れて、広告収入が入って、広告主の集客数や売り上げが伸びる」というWIN-WINの関係性が理想。
営業担当者たちは単に広告出稿を勧めるのではなく、宿泊予約を増やすために、貸切風呂や露天風呂付き部屋などの設置、特別な食事プラン、カップルや親子向けステイなどを提案するコンサルタントのようなところがありました。
1990年代から2000年代までの『じゃらん』は日本全国の宿泊施設をクライアントに持ち、前述したライバル誌・JTBの『るるぶじゃぱん』を寄せ付けない一強状態。
各地の宿泊施設で話を聞くと、判で押したように「『じゃらん』に頼るしかない」という言葉が返ってくるくらいでした。先駆者としてのアドバンテージだけでなく、提案、クロージング、足を使った努力などの営業力が優れていたのは間違いないでしょう。
宿泊施設の予約は2000年にスタートした「じゃらんnet」に引き継がれていくようです(ちなみにJTBの「るるぶ.com」は2001年スタート。2019年に終了しましたが、「るるぶ+」など別サイトに移管)。
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