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遅すぎた「じゃらん休刊」で露呈した"残酷な真実" "一強"だった同誌がそれでも休刊となったワケ

東洋経済オンライン / 2024年10月11日 16時15分

しかし、関係者や読者の効率性が上がった一方で、「営業担当者と宿泊施設との関係性が以前よりドライになった」という話をたびたび聞くなど、「すべてがよくなった」というわけではないのでしょう。

今も収益を上げる「旅行関連本」

では、「旅行関連本のビジネスがまったく通用しないか」と言えば、まだ「YES」とは言い切れないところもあります。

たとえば、現在の旅行関連本はビジュアル重視のものが主流。デジタルではなく紙で見ることを楽しめたり、部屋に飾っておきたくなったりするような美しい写真をベースにデザインされたもので販売につなげています。

これは「やっぱり紙の本もいいな」「ここに行ってこういう写真を撮ってみたい」などと思わせる本なら売れるかもしれないということでしょう。

また、もともと『じゃらん』のような広告メインではなく、情報メインのムック本が強みだったJTBは2011年に自治体発行の公式パンフレットを作成する「カスタム出版(るるぶ特別編集)」という事業をスタート。

『るるぶ』ブランドを貸したタイアップ本を手がけるビジネスであり、対象を企業や学校などにも広げつつ貴重な収入源となっています。

これは裏を返せば、広告重視のコンセプトである『じゃらん』はビジュアル重視の本にはなりづらく、タイアップ本を作るほどの編集は難しいということ。そもそも『じゃらん』はその大半が宿泊施設の情報で特集記事は少なく、広告を見て予約するための本として親しまれてきました。

つまり、「特集記事の間に少しの広告がある」のではなく、「広告の間に少しの特集記事がある」という構成であり、本の売り上げよりも宿泊施設などの広告収入をベースに制作されてきました。ちなみに『じゃらん』に限らずリクルートの情報誌が他の雑誌より安価で買えたのは、そんなビジネスモデルによるものです。

そんなリクルートのビジネスモデルは、年月の経過とともにさまざまな情報誌で逆境に立たされてきました。

リリースの「リクルートグループについて」という項目には、「1960年の創業以来、リクルートグループは、就職・結婚・進学・住宅・自動車・旅行・飲食・美容などの領域において、一人ひとりのライフスタイルに応じたより最適な選択肢を提供してきました」と書かれていました。

就職は『タウンワーク』『FromA』『とらばーゆ』、結婚は『ゼクシィ』、住宅は『SUUMO』、自動車は『カーセンサー』、旅行は『じゃらん』、飲食や美容は『ホットペッパー』。さまざまなジャンルの情報誌を手がけ、トップクラスの売り上げを得ていました。

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