日本の核武装が「どう考えても無理」な具体的根拠 核兵器の開発は「気合でできる」ものではない
東洋経済オンライン / 2024年10月12日 18時0分
国際関係が緊張を増す情勢のなか、折に触れて話題にのぼる「核武装の是非」ですが、元外務省主任分析官の佐藤優氏によれば、日本の核武装はアメリカとの関係だけでなく、技術的な側面からも現実的ではないといいます。佐藤氏が指摘する、日本が「絶対に核武装できない」具体的な根拠とは。
※本稿は、佐藤氏の著書『佐藤優の特別講義 戦争と有事』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
70年代から続く「日本の核武装」に対する議論
日本の核武装という問題は、かなり前から議論されてきました。たとえば、アメリカの研究者ウィリアム・H・オーバーホルトが編集した『アジアの核武装――その可能性と現実』を読むと、1970年代にも、日本の核武装についての意見が述べられていたことがよくわかります。
最近では、アメリカの国務長官だったキッシンジャーが2023年に「この国は5年で核大国になる準備をしている」という発言をしたことでも話題になりました。
この問題は、日本とアメリカだけで話題になっているものではありません。
たとえば、エマニュエル・トッドは『第3次世界大戦はもう始まっている』で、「中国や北朝鮮にアメリカ本土を攻撃できる能力があれば、アメリカが自国の核を使って日本を守ることは絶対にあり得ません。自国で核を保有するのか、しないのか。それ以外に選択肢はない」と述べています。
トッドのこの発言を肯定するにしろ否定するにしろ、今や日本が安全保障という側面で岐路に立たされていることはたしかです。
核武装はやるなら「極秘」に進めなければならない
アメリカが認めないにもかかわらず、日本が独自に核兵器の開発を行うということはまず考えにくいでしょうが、アメリカの許可を得て核兵器を開発することは可能ではないかという意見は存在しています。しかし、私はその可能性はないと考えています。
アメリカが絶対に核を日本に持たせたくないからです。日本はかつてアメリカと戦争をした国ですから、持たせるはずがないのです。何十年経とうと、アングロ・サクソンという民族は、戦争で敵対した記憶を絶対に忘れないのです。
核武装実現の最大の障害は原発です。アメリカが日本に原発を持たせるということには、2つの意味があります。1つは原子力エネルギーによって日本を、アメリカのウランに依存させるということ。2つ目は核武装させないということです。
これに加えて、日本には核武装を困難にする現実的な問題があります。それは、この国の人々は秘密を守れないという点です。
この記事に関連するニュース
-
静かに進行する北朝鮮の「原子力潜水艦」の危険性
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月16日 18時22分
-
潜水艦から「バッヒューン!」なぜ警戒が必要か 北朝鮮も導入始めた「恐怖のミサイル」将来は韓国も?
乗りものニュース / 2024年10月12日 11時42分
-
被団協称賛、廃絶後ろ向き 米、核軍拡懸念も
共同通信 / 2024年10月12日 6時5分
-
露中朝の脅威…核兵器取り巻く世界情勢は急速に悪化 「人類史上最も危険な時期」
産経ニュース / 2024年10月11日 21時24分
-
「アメリカだけに頼れない」韓国で広がる核武装論 日韓同時の核武装を訴える書籍が日本でも出版
東洋経済オンライン / 2024年9月21日 9時0分
ランキング
-
1ドア開閉やワイパーなど制御ソフトを共通化、トヨタ・ホンダ・日産が連携で合意…自動運転も視野
読売新聞 / 2024年10月16日 15時0分
-
2最低賃金の引き上げアピール合戦 時給1500円に経営側困惑
共同通信 / 2024年10月16日 19時24分
-
3高所得者の年金停止要望、関経連 「痛み伴う改革を」
共同通信 / 2024年10月16日 17時29分
-
4牛丼値引き戦争が延長戦に すき家“80円引き”を延長 吉野家は先週クーポン配布
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年10月16日 17時52分
-
5全長5m級!? マツダが「凄い高級SUV」実車公開! 3列シート×斬新エンジン採用!? 「CX-80」をJMS展示
くるまのニュース / 2024年10月16日 13時10分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください