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日本の核武装が「どう考えても無理」な具体的根拠 核兵器の開発は「気合でできる」ものではない

東洋経済オンライン / 2024年10月12日 18時0分

日本が立てている論理は、アメリカとの信頼関係は絶大なので、持ち込むときはアメリカが事前に通告しないことはあり得ないという前提に立っています。ですから、非核三原則は実際には意味をなさないものだと考えられるのです。

このような状況ですので、一部の人は非核三原則を改めて二原則にするべきだと主張しています。そうすれば、有事のときに核兵器を日本に持ち込めることになる。これはきわめて重要なことです。

日本の核武装が「絶対に無理」な構造的理由

勇ましく「日本を核武装化すべし」と唱える言論人がいます。しかし、それは現実的ではありません。核武装化にはハードルが多過ぎるからです。

まず、核実験をどこでやるかという問題があります。辺野古基地の移設でさえあれだけもめているのに、どこの都道府県が核実験場の建設を受け入れてくれるでしょうか。海中でも実験はできません。海中で実験をすると、部分的核実験停止条約に違反します。日本がこの条約に加盟している以上、実験はできません。

もちろんこの条約から離脱すれば、核実験はできるようになりますが、北朝鮮と同じ仲間ということになってしまいます。北朝鮮はこの条約の非加盟国で、核実験を何度も行っています。そしてご存じのように、世界中から厳しいバッシングを受けています。

また、フランスやイギリスの場合を見てみましょう。実は両国には核ミサイルの地上基地がありません。フランスもイギリスも、核ミサイルは原潜にしか積んでいないのです。なぜかといえば簡単な話で、原爆3発くらいで両国は失くなってしまうからです。地上に基地を置いたら狙われるだけですから、地上に基地はつくれないのです。

アメリカのように、ネバダ砂漠やアリゾナ州のような広大な無人地域があったり、ロシアのように広大なシベリアがあるなど、国土が広くないと、地上に核基地は置けないのです。

そうすると、潜水艦への搭載しかなくなります。しかし、原子力潜水艦の技術はどの国も提供してはくれませんから、日本で自力開発するしかありません。それには10年ほどの時間と莫大な資金が必要になる。つまりは、ハードルが多過ぎるのです。

現時点では、日本が原潜を開発するという動きすらありません。なぜなら、原潜を建造するとなれば、そうりゅう型の潜水艦をつくった意味がなくなるからです。

原潜とほぼ同じ性能で、1年中、水中に潜っていられるそうりゅう型の潜水艦を三菱重工と川崎重工でつくっている状況で、それをお払い箱にしてまで原潜をつくるメリットがないのです。

核武装の意図を表明した瞬間、日常生活が破綻する

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