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「手術中汗を拭いてもらう」外科医が実はいない訳 ドラマと現実ではこんなにも異なっている!

東洋経済オンライン / 2024年10月12日 19時0分

ドラマでよくあるシーン4 患者に心臓マッサージを行う

ドラマでよく見かける、心臓マッサージのシーン。これは、実は本気の心臓マッサージでないことが多い。なぜなら、意識のある人に本気の心臓マッサージをしたら、痛すぎて飛び上がってしまうからだ。マッサージという言葉がモミモミと優しく揉む様子を連想させるが、実際はかなり強い力で胸を上から押さないと、奥にある心臓を動かすことはできない。

実際どれくらいの力で胸を押せばいいかというと、まずスーパーの買い物かごをイメージしてほしい。買い物かごをひっくり返してその中に風船を入れ、かごを上から押して中の風船をへこませることを考えてみよう。かなり強い力を加えて、買い物かご自体をへこませる必要があることがわかると思う。人間の体は買い物かごよりも頑丈にできているので、これより強い力で胸をへこませないと、中にある心臓をへこませることはできないだろう。

心臓マッサージは、心臓が止まってしまった人に対してただちに行う処置である。胸の真ん中にある骨(胸骨)を強く押し込み、その後ろにある心臓を強制的に動かすというものだ。止まった心臓自体に対する治療法だと思われがちだが、実際には少し違う。

心臓マッサージの真なる目的とは、動かなくなった心臓の代わりに、心臓の中にある血液を全身の臓器、特に脳に送り続けることだ。脳に血液が送られないと、脳の細胞が徐々にダメージを受けて、5分もすると細胞が完全に死んでしまうので、心臓マッサージによって血液を心臓から送って時間を稼ぎ、その間に別の方法で心臓の治療をするということなのである。そう、心臓マッサージは治療ではなく時間稼ぎなのだ。

というわけで、心臓マッサージとは「胸骨を激しく押し込んだり引っ込めたりして圧迫することでその後ろにある心臓を強制的に動かし、中にある血液を臓器、特に脳に送り続ける行為」といえるが、長いので、今は「胸骨圧迫」と呼ばれている。

ドラマでよくあるシーン5 成功率1%の手術に挑む

外科医が「1%の成功率にかけます」などと言っている描写を見かけることがある。これは、実際にはありえない。なぜなら、そんな確率の手術はそもそも行われないからである。

手術は病気を治し、人を健康にするために行われるが、一方で健康を害するリスクにもなりうる。手術で病気は治ったけど、手術の合併症によって状態が悪くなるということも残念ながらありえるのだ。

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