牛丼チェーン「深夜料金」に不満の声が続出する訳 外食チェーンのインフラ化に我々は慣れてしまった
東洋経済オンライン / 2024年10月12日 9時40分
集団就職の時代から一貫して、こうした単身者を受け入れる業態の需要は存在し続けてきたわけだ。
こうして「社会のインフラ」としての牛丼屋はどんどん広がっていく。
1973年に吉野家がフランチャイズチェーンをはじめてから、すき家、松屋、なか卯などが続き、全国どこでも牛丼が食べられるようになった。当初は都心店を中心とする展開だったが、徐々にファミリー層も取り込みながら郊外店も生まれてくる。現在も牛丼屋全体の数は微増を続けている。こうした展開を経ながら、牛丼屋は「社会のインフラ」的なポジションを保ってきたといえるだろう。
実は近年では、牛丼チェーン各社も「社会のインフラ」であることを意識的に押し出している。
すき家を運営するゼンショーホールディングスは「食のインフラ」として店舗営業を行うことをホームページで述べている。あるいは吉野家も2020年にファミリーセットを開始する際、「人々の生活に寄り添い、“牛丼”という日常食を提供する社会インフラとして可能な限り食事を提供することが、吉野家が果たすべき役割だと考えております」と述べたのだ。
企業側もこうしたことを意識するぐらい、「24時間営業している牛丼屋」は私たちにとって「慣れた」ものになってきた。ある意味、牛丼の深夜料金設定は、公共料金の値上げのようにさえ、受け取られているのではないか。
牛丼屋は生活に馴染みすぎた?
牛丼屋がいかに日本人の意識に染み付いているかは、2010年代からネットスラングとして使われる「チー牛」という言葉にも表れている。これは、「牛丼屋でチーズ牛丼を食べてそうな男性」のことで、「オタク」「ネクラ」「陰キャ」を表す隠語。
実は、同じような属性の男性を表す言葉は世界各国にあるが、日本ではそれに「牛丼」の名前が冠されているのだ。例えば、韓国語では「淘汰男」というらしい。こうした単語に牛丼屋で扱われるメニューが登場するぐらい、日本人にとって牛丼屋が浸透しているのだ。
水道や電気が通っていることを意識しないのと同じように、私たちは知らず知らずのうちに24時間やっている牛丼屋を「ふつう」のものとして捉えている。
しかし、当然のことだが、社会が移り変わるとともに、24時間営業の弊害も出てくる。すき家で話題になった「ワンオペ」の弊害など、その歪みが徐々に明るみに出てきたのだ。
というより、そもそも深夜営業が前提になっている状況に無理があったともいえるかもしれない。
この記事に関連するニュース
-
「ワンコイン」で牛丼が食べられる時代はもう終わり? 「価格上昇」が止まらない「外食産業」の現状とは
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月11日 3時50分
-
中務裕太「牛丼チェーンは国民の味方」 吉野家・すき家・松屋と期限付きで値下げ
日刊スポーツ / 2024年10月10日 10時53分
-
吉野家・松屋・すき家が値引き合戦、並盛300円台に…期間限定キャンペーンで客足回復狙う
読売新聞 / 2024年10月9日 20時37分
-
牛丼大手3社が値下げ 「並盛り」300円台に 新規顧客の獲得目指し競争激化
RKB毎日放送 / 2024年10月9日 17時48分
-
手軽なので、毎日「牛丼定食」や「ハンバーガー」を食べています。自炊に切り替えたら、年間費用はどれだけ浮くでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月19日 4時10分
ランキング
-
1「もはや怖い…」ジャンポケ斉藤の妻の“幸せアピール”SNSに、ネットザワつく「借金だらけのはずでは?」
女子SPA! / 2024年10月12日 15時45分
-
2高級ホテルでドライヤーやバスローブ、ハンガーなどの備品が盗まれる…旅行業界で「インバウンドの客よりも悪かった」と囁かれる客層とは?
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月12日 10時15分
-
3【知らないと危険】「電池」の液漏れ “失明”&やけどの恐れ 正しい処分法をパナソニックに聞く
オトナンサー / 2024年10月13日 9時10分
-
4牛丼チェーン「深夜料金」に不満の声が続出する訳 外食チェーンのインフラ化に我々は慣れてしまった
東洋経済オンライン / 2024年10月12日 9時40分
-
5「自動音声ガイダンス」電話の巧妙すぎる詐欺手口 総務省をかたり「電話料金が支払われていない」
東洋経済オンライン / 2024年10月13日 10時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください